昨年12月の日本武道館大会でベスト・オブ・ザ・スーパージュニア(BOSJ)を制した高橋ヒロム(31)が、スーパー・J・カップ(SJC)2020覇者のエル・ファンタズモ(34)に勝利し、5日のIWGPジュニアヘビー級選手権試合で王者石森太二(37)への挑戦が決まった。

特別プロモーターで今大会のテーマソングを歌う、タレント木梨憲武が音頭を取り、長州力の開会宣言で始まった。

一発逆転のウラカン・ラナの切り返しでファンタズモを沈めた。終始劣勢の中での戦いに納得いかず、帰り道では「つまんねぇ試合してしまった」と嘆きながら引き揚げた。バックステージでは「全くフェアじゃなかった」。苦しい発言がストレスのたまる試合であったことを物語っていた。

「新の覇者を決める戦い」と意気込んで挑んだが、開始早々、ファンタズモが高橋の持ってきたトロフィーを投げ捨てるなど、場外戦からスタート。序盤に執拗(しつよう)に痛めつけられた右手首のダメージが大きく、強烈な張り手は見せなかった。両足、股間までも踏み付けられ、得意のTIME BOMB2も決まらない。自身の技も披露されるなど、やりたい放題の相手に、持ち前のフットワークでかわすのがやっと。「分からないが、あいつは何か反則をしている。調べてくれ」と語った。

BOSJでは10人での約1カ月に及ぶ戦いを制し、東京ドームに乗り込んだ。「長かったし、痛くてつらくて何度もくじけそうになったけど、何よりもプロレスが楽しかった」と正直な気持ちを吐露した。リーグ戦では9試合中6試合でメインを張った。ベルトを持っていない中で批判もあったが、持ち前の明るさでかわした。試合前には相手攻略本を持って毎回登場。12月23日の会見でも、お面をかぶりファンタズモに扮(ふん)するなど、会場を笑いの渦に包んだ。

ファンを大事にし、新日本ジュニア界を背負っていく。「今のこの状況の中で多くの人が会場に来てくれる。来られない人も見てくれていると思うと力がみなぎってくる。思いっ切りプロレスをして元気を与え、みんなからの拍手で、元気をもらう。そういうつながりが新日本プロレスでやってきたこと」と明かす。

5日、いよいよジュニアヘビー級のベルトをかけ、石森に挑戦する。試合後バックステージで遭遇し「ギリギリで勝ったな。まあ、俺がトドメを刺す」と挑発されたが「俺とバチバチの試合をやりたかったんでしょ? どちらが強いかハッキリさせましょう」と切り返した。8月29日の神宮大会で敗れ、持っていたベルトを奪われたが、BOSJ開幕戦となった11月の対戦でリベンジ。「見てるお客さんもストレスがたまったと思うのでキレイさっぱり発散する」。5日、納得の勝利で真の王者となる。

◆高橋ヒロム(たかはし・ひろむ)1989年(平元)12月4日、東京都生まれ。10年8月にプロレスデビュー。13年6月から英国に武者修行、14年1月からはメキシコCMLLにマスクマンのカマイタチとして参戦。17年、18年にIWGPジュニアヘビー級王者となる。得意技はTIME BOMBなど。所属ユニットはロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン。171センチ、88キロ。