WWEグランドスラム達成へ、中邑真輔(40)が「原点回帰」で21年の本格スタートを切った。

今年最初のPPV大会で、34回目の伝統を誇る30人出場の時差式バトルロイヤル、男子ロイヤルランブル(RR)戦に4年連続で出場。18年RR戦を初制覇した当時のパンタロンスタイルにコスチュームを戻し、リングで躍動した。3年ぶりの優勝は逃したものの、最高位ベルト奪取を目指す中邑の再挑戦を印象づけた。

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入場時から中邑の本気度が伝わった。18年RR戦の初出場初優勝時と同じパンタロンスタイルのコスチュームに変更。米国でも人気の入場曲「ライジング・サン」でリングに入った。ドルフ・ジグラーやサミ・ゼインに膝攻撃、ムスタファ・アリにはスピンキックで攻め込んだ。続く8番目に登場したカリートのトレードアイテムとなるリンゴも強奪してみせた。

さらにインターコンチネンタル(IC)王者ビッグEや今年のRR戦を10年ぶりに制したエッジとの攻防をみせて躍動。19番目登場のキング・コービンにキンシャサ(ランニング式膝蹴り)を止められ、旋回式バックドロップを食らって脱落したが、年間最大の祭典となる18年4月のレッスルマニア34大会のWWEヘビー級王座戦でAJスタイルズに敗退後、約3年間続けたヒール時代とムードが違った。時計の針を戻し、3年前に最高位王座を狙っていた姿に戻っていた。

PPV大会前、会場内で撮影した動画をSNSに投稿した。18年にUS王者、19年にIC王者、昨年はセザーロとスマックダウン・タッグ王者にも就いたことを振り返りつつ「それでもまだ足りない。世界王座だ。俺は世界王座を手にしたい」と告白。実力と人気でトップを誇るWWEユニバーサル王者ローマン・レインズへの挑戦を宣言した。 RR戦優勝は逃したものの、レッスルマニア37大会(4月10、11日、米タンパ)まで王座挑戦権獲得のチャンスは十分に残る。日本男子初のWWEグランドスラム達成となる最高位ベルト獲得へ、中邑の再チャレンジが始まった。

◆中邑真輔(なかむら・しんすけ)1980年(昭55)2月24日、京都府京丹後市生まれ。青学大レスリング部から02年に新日本プロレス入団。同年8月に安田忠夫戦でデビュー。03年12月にデビュー最速、史上最年少でIWGPヘビー級王者に。11年にG1初制覇。12年以降はIWGPインターコンチネンタル王者として人気に。16年1月に新日本を退団し、同2月にWWE入団。同8月にNXT王座を獲得し、17年にスマックダウンに昇格。得意技は膝攻撃のキンシャサ。188センチ、103キロ。

◆ロイヤルランブル戦 WWEで88年から始まった30人出場の時差式バトルロイヤル。開始時に2人がリングで戦い、90秒ごとに1人ずつ追加入場し、バトルロイヤルを展開する形式。トップロープから落ち、両足を場外につけると脱落。トップロープ以外でリングから落ちても失格にならないため、作戦でリング外に回避する選手もいる。優勝者には最高位ヘビー級王座への挑戦権が与えられる。

◆WWEグランドスラム WWE管轄の主要4王座を獲得すると達成となる。もともとはWWEヘビー級王座、インターコンチネンタル(IC)王座、WWE世界タッグ王座、欧州王座の4ベルト獲得経験がある選手への称号だった。王座の封印や新設に伴い、16年以降はWWEヘビー級かWWEユニバーサル王座、IC王座、US王座、ロウかスマックダウン(SD)のタッグ王座を獲得すれば認定される。男子の達成者はトリプルH、クリス・ジェリコ、ビッグ・ショー、ランディ・オートンら22人。女子はロウかSDの女子王座、NXT女子王座、女子タッグ王座の主要4王座でグランドスラムとなり、アスカが20年に達成した。