総合格闘技「修斗」の女子プロ選手、皆川杏佳(23=SAI-GYM)がデビューを目指して練習に励んでいる。昨年11月の北日本アマチュア修斗選手権女子アトム級優勝などの実績が考慮され、1月にプロに認定されたばかり。県内では17年の佐藤ひかり(ピロクテテス新潟)に続く2人目の女子プロ選手になった。将来は総合格闘技イベント「RIZIN」出場を目標にしている。

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あどけなさの残る端正な顔立ちがグラブをつけると一気に引き締まる。SAI-GYMでの練習。皆川は男子選手に交じってミット、スパーリングと精力的に取り組む。「今は早くデビューしたい」。1月、日本修斗協会からプロ認定された。昨年11月、北日本アマチュア修斗選手権アトム級での初優勝が評価されての昇格。週5日のジム通いの先に大きな目標ができた。

首都圏を中心に女子格闘技の注目度が高まってきた。SAI-GYMの横山朋彦代表(42)は「すでに皆川にもオファーが幾つか届いている」と言う。それを踏まえ「まず実力面。そして本人の意識がどれくらいなのか」と慎重だ。皆川も自覚する。普段の体重42キロは女子でも小柄。最軽量の女子総合格闘技「DEEP JEWELS」のミクロ級でも44キロ以上。「もっと体を作らないと。体力も必要」と新潟市の巻っずレスリングクラブに週1回通い、食事も1日4食に。

中学では家庭科部だった。今もジムの練習用グラブのほころびを縫うなどの素顔をのぞかせる。もともと格闘技だけでなくスポーツに無縁の生活だった。ただ、「なんとなく興味はあった」。おじでブラジリアン柔術家の皆川光生(レナトゥス柔術アカデミー)に連れられた練習見学をきっかけに中学卒業前にSAI-GYMに入門。柔術と修斗を始めた。

修斗の打撃、組技、蹴りの多彩な技の取得に夢中になった。「1つできるようになるのがうれしかった。怖いとも、やめたいとも思わなかった」。横山代表は「運動能力は高くない。技の覚えもいまひとつ」と厳しいが、「ジムで一番の練習量。努力は本当にすごい」。ジム通いは入門以来休んだことがない。練習後の筋トレも日課。積み重ねが開花し始めた。

総合格闘技「RIZIN」の観戦に頻繁に通っていた。今はそのリングを目指せる立場。「RIZINに出たい。将来は大きな大会で勝ち選手になる」。ターゲットは明確になってきた。【斎藤慎一郎】

◆皆川杏佳(みながわ・きょうか)1997年(平9)7月1日生まれ、燕市出身。吉田中3年の時にSAI-GYMに入門。西川竹園高でもジム通いを続け、修斗とブラジリアン柔術に取り組む。18年、柔術のイサミ-リバーサルサマーカップアダルト白帯ルースター級で優勝。現在は青帯。修斗では19年の越後風神祭に出場。憧れの女子格闘家は浅倉カンナ(パラエストラ松戸)。142センチ、42キロ。血液型O。