大事な“相棒”は取り戻したが、ベルトは取り戻すことができなかった。IWGPタッグ選手権試合は、タイチ(40)がザックセイバーJr.と組み、タマ・トンガ、タンガ・ロア組に再挑戦。先月奪われていたアイアンフィンガーを手にしたタイチが急に暴れ出し、反則負けを喫した。

タイトルマッチのことなど忘れていた。終盤、邪道がアイアンフィンガーを持ってリングに現れ、それを強奪したタイチは「ウォー」と大きな雄たけびを上げ、右手に装着。止めにかかるレフェリーをはねのけ、まずはロアを一撃。その後、邪道とトンガにもアイアンフィンガーフロムヘルを浴びせると、反則負けを知らせるゴングが鳴った。正気を失ったタイチはレフェリーにも一発を見舞い、さらに止めに入ったパートナーのセイバーJr.や金丸にも殴りかかろうとするなど大荒れ。ようやく自分の手に戻った形見だったが、凶器と化してしまった。

1月4日の東京ドーム大会でタッグのベルトを失い、同6日にはトンガにアイアンフィンガーを強奪された。2年前に引退した飯塚から継承した大切なアイテム。「毎晩夢に出てくる。うなされて眠れない」と言うほど情緒不安定に陥っていた。前哨戦では、トンガが毎回縫いぐるみなどの偽者を持ち込み「アイアンフィンガー、ドコデスカ?」と挑発。この日も持ってきた6つの袋にはすべて入っておらず、タイチの怒りは開始から最高潮に達していた。

セイバーJr.は「(タイチを)責めるつもりはない」と理解を示した上で「タイチとのタッグは結婚生活のようでアップダウンが激しい。お互いのためにも少し休んだ方がいいと思う。ちょっと整理する時間をくれ」と心中を明かした。怒りを爆発させ、形見を振り回してしまったことで、大事なパートナーを傷つけてしまったタイチ。手に入れた相棒と向き合いながら、失った信頼を取り戻しにいく。