ひめか(23)が舞華とのタッグでゴッデス・オブ・スターダム選手権を制し、団体加入後、初のタイトルを手にした。

「デカいやつの倒し方はデカい私が一番知っている」。172センチのひめかは終盤、意識もうろうの中、170センチのプレストリーのカミゴェをかわし、丸め込んで逆転の3カウント。「とっさに出た判断が当たった。自分の弱点が丸め込みなので、本当に危ない時には出そうと思っていた」と体が自然と反応した。勝利の瞬間、雄たけびを上げながら大きなガッツポーズ。3度目の挑戦でようやく手にした悲願のベルトに涙があふれた。「やっと取れた。ファンからもそろそろ取ってよ、と言われていた」とホッとした表情を見せた。

多くの人に勇気や喜びを届けたベルトとなった。岩手出身のひめか。13日夜に東北地方を中心に発生した地震に心を痛めた。現在家族は住んでいないが、高校時代の友人たちから無事の報告を受け、一安心。「初めてのベルトを届けることができて良かった」と目を細めた。

さらにこの日は「バレンタインスペシャルデー」と題して行われた。コロナ禍でチョコを配ることはできない分、試合前から「(ファンに)この甘いベルトをプレゼントしたい」と発信していた。メインの試合で勝利し、締めのマイクパフォーマンスを任されたが、まさかのスルー。「興奮しすぎて忘れちゃいましたね」とおどけた。

昨年6月の移籍後、周りのプロ意識の高さに驚いた。「責任感を持たないと」とジュリアに付き添ってもらうなどして体重を10キロ以上落とし肉体改造。今年1月には新日本の前座として、東京ドームのリングにも立った。それでもベルトは遠く、後から入ってきた白川・ウナギに先に奪われる屈辱を味わった。

ようやく目標だったベルトに届いたが、3月の日本武道館大会での挑戦を表明した刀羅と鹿島から「(肉体改造が)中途半端」と挑発され激高。「豚とモヤシには言われたくねえよ。あと2週間でやってやる」と言い返し、苦手な筋力トレーニングに取り組むことを誓った。2週間で強靱(きょうじん)な肉体を作り上げ、王者として日本武道館で迎え撃つ。【松熊洋介】