WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(27=ワタナベ)が、米デビュー戦でV3に成功した。英プロモーターのマッチルームとの契約初戦。接近戦で優位に立つと、同級10位アクセル・アラゴン・ベガ(20=メキシコ)が右拳を負傷。レフェリーストップで5回1分32秒TKO勝ちした。

<大橋秀行の目>

技術的には王者京口が格上だった。ベガの身長の低さを想定した練習の成果だろう。実にコンパクトなアッパーを的確に打ち込んでいた。左アッパー、右オーバーハンドをヒットさせ、接近戦を狙うベガの突進を許さなかった。コロナ禍で約1年半もリングから遠ざかり、かつ米初陣だった。力んだパンチにもなりそうだが、無駄な力は抜けていた。逆に京口らしい強打が少ないようにも見え、海外調整が難しかったのかと心配したが、展開から想像すると中盤から終盤の勝負に出るつもりだったのだろう。

最後がベガの右手負傷という結末だったものの、本人が宣言していたような「横綱相撲」だった。何より今回は米初リングでKO勝ちすることが最優先。英マッチルームと契約した初試合をTKO勝ちでクリアした意味は大きい。次戦以降、統一戦など大きな試合を組んでもらえるチャンスが広がったのではないだろうか。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)