GHCナショナル選手権試合は挑戦者の藤田和之(50)が王者・拳王(36)を体固めで破り、初のGHCタイトルに輝いた。

藤田には杉浦軍の、拳王には金剛の選手たちが総勢で見守る中、開始からにらみ合いが続いた。観客の手拍子が続く中、お互いに視線をそらすことなく、相手の目だけを見つめ、7分半。昨年3月には潮崎と30分以上にらみ合ったことからすれば、だいぶ短いが、時間が経つごとに緊張感が増していった。

拳王の仕掛けで始まったが、内容でもパワーでも勝っていた。強烈な右足の蹴りを浴びせる拳王に「もっと来いよ」と挑発。30発以上を受けてもリングに立ち続けた。途中からは張り手で応戦。最後はパワーボムから顔面を蹴り上げ、3カウントを奪った。

もともと多くを語る方ではなく、リングの上で気持ちを表現する。挑戦者に指名された、7日の横浜武道館大会では「そういうことなので」と会場を後にした。今試合後も感想を聞かれた藤田は「あいつ(拳王)は男だよ」と一言。次戦は同門の杉浦の挑戦を受けるが「基本はいつ、何時でもやる」と語った。ノアでの初めてのタイトル。「どんなに高い山でも低い山でも頂点には変わらない」。相手が誰であろうとも、王者のプライドを維持し、真っすぐにただ勝利だけを追い求める。