IBF世界スーパーバンタム級暫定王者岩佐亮佑(31=セレス)の2冠奪取はならなかった。

IBF&WBAスーパー世界同級王者ムロジョン・アフマダリエフ(26=ウズベキスタン)との王座統一戦に臨み、レフェリーストップによる5回1分30秒、TKO負けを喫した。19年12月の暫定王座奪取以来の試合となったが、アマ経験豊富な同国の英雄にアウェーで敗れた。本紙評論家で元WBA、WBC世界ミニマム級王者の大橋秀行氏(56=大橋ボクシングジム会長)が勝負の分かれ目を解説した。

  ◇  ◇  ◇

個人的には、ちょっとレフェリーストップが早かったかなと感じた。岩佐選手が相手ラッシュに合わせ、カウンターのタイミングを見計らっている時に止められた印象だった。しかし今は選手の安全面を考慮し、試合ストップが早い傾向にあるのも事実。レフェリー判断を尊重するしかない。

5回、最初に連打を浴びた岩佐選手だが、まだまだスタミナも残り、ダメージもなかったと思う。相打ち覚悟で勝負するシーンが来るのだろうと楽しみにしていたが、唐突に終わってしまった印象だ。何より岩佐選手本人が消化不良だっただろう。

開始1回の岩佐選手は非常に落ち着いていた。右ジャブが良く、ホームのアフマダリエフ選手の方が力んでいた。今まで海外試合を何度も経験している良い入りだったが、2回に入ると右ジャブの打ち合いで、打ち負けていた。あの打ち負ける姿は過去の世界戦でも、あまり見たことがない。勢いづいたアフマダリエフ選手の右ジャブ、ジャブと同じタイミングで右ボディーストレートを打ち込まれ、テクニックと引き出しの多さで押されていたところもある。5回には相手に狙われていたであろう左アッパーを被弾していた。あれは少し効いていたと思う。あの左アッパーの後ぐらいからレフェリーの頭に試合ストップが浮かんできたのだろう。

負けはしたものの、スーパーバンタム級で世界最高峰とされるアフマダリエフ選手とアウェーで互角に渡り合い、十分に実力は証明できたと思う。コンディションも仕上げ、試合の入り方も良かったが、それ以上にアフマダリエフ選手がホームアドバンテージを生かしたという内容だった。これが岩佐選手のラストというのは非常にもったいない。再起してほしいと願う。