グレート・O・カーン率いるUNITED EMPIRE(UE)にトーア・ヘナーレ改め、アーロン・ヘナーレが新加入した。先にリングにコブと入場したO・カーンが「なんだ悪人ども。そんなに新たな同盟者が気になるか。これが帝国の兵器だ!」と紹介。ヘナーレはサングラス姿でUEのベルトを巻いてゆっくりと登場した。

6人タッグマッチに出場したヘナーレは、パフォーマンスも絶好調だった。ゴング前にSANADAに襲いかかると、内藤には強烈な蹴りを浴びせ、鷹木を場外に落とし、流れを作った。終盤はSANADAに対し、コブのツアー・オブ・ジ・アイランドから流れを受け継ぎ、そのまま新技「Streets of Rage」(デスバレーボム)で3カウントを奪った。勝利後も興奮が続くヘナーレは、SANADAをリング上で殴り続けた。「人生で戦いより大事なものはない。本当の俺はこんなもんじゃない。もっと危険だ」と豪語した。

ニュージーランドでプロレスを学び、16年に新日本の門をたたいた。真壁、棚橋、飯伏らのいる本隊に所属し、力を付けてきたが、先月O・カーンが新加入メンバーの発表を明かし、悪の帝国へと導かれた。「棚橋も真壁も誰も責めるつもりはない責めるべきは自分自身だ」。これまで発言もしっかりしており、優等生だったが、実は息苦しかったという。「ずっとイメージに合わせないといけないと思って、自分を抑え付けていた。それが間違っていたんだ」。

先輩の影に隠れ、注目を浴びることが少ない中、自分を発揮できる居場所を見つけた。デビュー戦で勝利に貢献し、リング上でたたえられた。「2週間前の俺は拍手なんてもらえなかった。もう自分を演じる必要はない」と笑顔を見せた。この日メインの試合では、同じ仲間となったオスプレイが飯伏を破り、IWGP世界ヘビー級の新王者となった。ヘナーレもセコンドでしっかりサポート。今年1月の東京ドーム大会では、UEは全敗という屈辱を味わったが、ようやく勢いが出てきた。新天地で好スタートを切ったヘナーレ。偽りのないプロレスラー人生を作り上げる。【松熊洋介】