チャンピオンカーニバル(CC)で、宮原健斗(32)が青柳優馬(25)を26分59秒、シャットダウン・スープレックスホールドで破り、勝ち点10で首位に並んだ。

「全国に俺の声が聞こえない所までファンがいる。そこまで声を届けるには優勝するしかない」。無観客であろうが、強い意思で挑んだ宮原のパフォーマンスは変わらなかった。普段からタッグを組む弟分の青柳に対しても容赦はしない。場外戦では、見ているファンに届けとばかりに頭突きを連発。「ゴツン」という重い音が会場に響き渡った。その後はレフェリーの制止をはねのけ、コーナーで殴りつけ、蹴りを浴びせた。場外カウント9で、ようやくリングに戻ってきた青柳にすぐに襲いかかり、攻撃の手を緩めなかった。

勝利後はカメラに向かって「5勝目だ~」と吠えた。トップだったジェイク・リーが敗れたことで勝ち点10で5人が並ぶ混戦ながらトップに浮上した。5月3日の最終戦はリーと対戦。「すべてを兼ね備えた男になったのは認める」としながらも「俺と同じ時代に生きたことを後悔することになる」と挑発した。

自らを「プロレス界のスーパースター」と呼び、全日本を引っ張る存在だと自覚する。それでも大会前は「エースを名乗るのはやめる」と控えめだった。マスコミへの露出が減り、諏訪魔には1年以上、3冠ヘビー級の防衛を許している。さらに「俺がメインに立たなくても興行が締まっている」と、青柳ら若手の台頭もあり、自分中心の全日本ではなくなってきていると実感。CCを優勝することで復活を遂げ、新たなスタートを切りたいと考えている。

2年ぶり2度目の優勝を視界に捉えた。無観客試合が続くが「盛り上げるのは俺しかいない。宮原健斗すべてを表現する」。この日、試合後恒例の「最高~」は封印。「優勝してからに取っておく。3150倍(サイコー)の最高マイクで21年のCCを締めくくる」。有言実行し、大復活を成し遂げる。【松熊洋介】