龍魂を打ち砕いた。IWGP世界ヘビー級王者ウィル・オスプレイ(27)が鷹木信悟(38)を44分53秒の激闘の末に破り、初防衛に成功した。

メイドインジャパン、パンピングボンバー、GTR…。「秘策がある」と言っていた鷹木の上をいき、武器である魂の攻撃をすべてはねのけた。テーブルの上にたたき落とされて腰を痛め、終盤は立つのもやっとの状態だったが、何度もかわされたストームブレイカーをさく裂させ、粘る相手をリングに沈めた。試合後観客が席を立てないほど、のみ込まれていた総力戦を制し「鷹木は俺のレベルに達していないから負けた。俺が勝つことは初めから運命で決まっていた」とほえた。

ベルトへの執念が実った。3月ニュージャパンカップで優勝し、飯伏への挑戦権を獲得した際に、恋人のプレストリーにオスカッターを浴びせて仲間割れ。当時、女子プロレスのスターダムに所属しながら、毎試合セコンドで助けてきたパートナーを「ベルト以外は意味がない」とあっさり切り捨てた。その後4月4日の両国大会で、宣言通り飯伏を破り、頂点に立った。

次戦は29日東京ドームでオカダと対戦する。英国時代に新日本へ導いてくれた兄貴分を昨年10月に裏切り、CHAOSを脱退。今年1月4日東京ドーム大会で対戦するも敗れ、眠れないほど悔しがった。この日の試合ではオカダの得意技のレインメーカーを披露するなど、リベンジの思いをリングでも表現した。

飯伏、鷹木と実力者を退け、勢いが止まらない。O・カーン、コブ、ヘナーレと形成するUNITED EMPIRE(UE)は1月の東京ドーム大会で全敗。そこからはい上がり、今シリーズの前哨戦では、鷹木、内藤らのロスインゴ・ベルナブレス・デ・ハポンに圧勝した。「オカダに負けた時はみんながおしまいだと言っていたが、今は俺たちが中心に立っている」と叫んだ。

この日、選手に発熱者が出て、試合数が減った。それでも「俺が立つメインの試合は、チケット料金に値する」とファンに向け堂々と語った。新設されたIWGPのベルトを“世界”に見せつけ「俺はこの団体(新日本)の未来だ。先輩たちからバトンを受け継いだ。期待に応えるのが俺の役目だ。この団体は俺を頼りにしている」と豪語した。英国の工事現場で働いていた時に夢を抱き、バカにされた周囲の人を見返すために努力を重ね、頂点に立ったオスプレイ。29日、オカダに敗れた同じ舞台で雪辱を果たし、誰も届かない領域に君臨する。