挑戦者の同級11位・高山勝成(37=寝屋川石田)が王者エルウィン・ソト(24=メキシコ)に9回TKOで敗れ、2階級制覇はならなかった。

強打のソトに対し、手数で対抗した。9回も打ち合い、それほどダメージは見られない中、レフェリーのストップが入った。その直後、高山はまだまだいけるとばかりシャドーボクシングを披露。不可解なストップだった。

試合後は「スタミナも十分残し、ダメージも少ない中、思わぬところでレフェリーストップとなり驚きました。ソト選手のパンチは芯を外していました。そのことを示すために行った試合終了後のシャドーボクシングに対する観客の大声援に感謝します。試合結果としては残念ですが、次戦につなげます」とコメントした。

ミニマム級で世界主要4団体を制し、アマチュアで東京五輪を目指したがかなわずプロに再転向した高山にとって約4年9カ月ぶりの世界戦だった。調整期間は約3週間しかない急なオファー。しかも米国で。厳しい条件を受けたのも、夢へ挑戦する思いの強さだったが、現実は厳しかった。

前日計量を100グラムアンダーの48・8キロでクリアした高山は「無事に計量をクリアできて安心しました。明日の試合でベストを尽くし、世界タイトルを奪取します」とコメントした。その言葉には、ボクシング人生のすべてをかける思いしかなかった。

王者ソトは試合前まで18勝(12KO)1敗の戦績を誇り、若さと勢いで圧倒的優位とみられていた。プロで41戦と倍以上の高山は、王者の勢いをキャリアではね返すと意気込んでいた。しかし、重なった高いハードルを越えられなかった。

東京五輪出場の夢破れ、再びプロに矛先を向けた。そのターゲットは「2階級制覇」しかなかった。復帰を決めた時も「あと1、2年しかないと思う。2階級制覇して引退するのが理想」と話していた。今月12日に38歳の誕生日を迎えるが、試合後は「次戦につなげたい」と現役続行に意欲を示していた。