ボクシングのWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が14日、神奈川・横浜市内の所属ジムで6月19日(日本時間20日)に米ラスベガスで控えるIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)との防衛戦(WBA5度目、IBF3度目)に向けたオンライン会見に臨んだ。

大橋秀行会長(56)、父真吾トレーナー(49)との同席で、21年初戦に向け、静かに闘志を燃やした。

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昨年10月31日のジェーソン・モロニー(オーストラリア)戦以来、約8カ月ぶりのリングは2戦連続の「聖地」防衛戦となる。井上は「この試合の大きなモチベーションは、しっかりクリアして大きな試合に向かう。ここまで高いモチベーションで迎えられれば、かなり良い試合ができる」と大きな手応えを口にした。 井上の防衛戦に合わせるように、WBC王者ノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)が5月29日、元4階級制覇王者のWBC同級1位ノニト・ドネア(38=フィリピン)との指名試合、WBO王者ジョンリール・カシメロ(31=フィリピン)が8月14日、WBA正規王者ギジェルモ・リゴンドー(40=キューバ)との防衛戦が決まった。

大橋会長は「次も良い試合で倒せば米国で注目されるし、評価も一段二段と上がる。その後にウバーリとドネアの勝者、カシメロとリゴンドーの勝者でもどちらかとやることになると思う。ダスマリナス戦は夢カード実現の大事な試合になる」と強調。井上も「この試合クリアしたら年内のもう1試合やりたい気持ちがある。そしてうまくいけば来年の春に4団体統一戦という計画を立てていきたい」との青写真を描いた。

指名試合で拳を交えるダスマリナスは身長170センチのサウスポーで14年12月以降、6年以上負けなしと侮れない挑戦者となる。サウスポーを苦手としてない井上だが、油断はない。少しラフファイトも仕掛けているタイプのため「(偶然の)バッティングには気をつけたい」と警戒した。真吾トレーナーは「高いレベルで練習できている。あとはナオ(井上)が相手に何をするか、何をしようとしているかが大事」とポイントを挙げた。

試合会場は今年3月にオープンしたヴァージンホテルで開催される。ラスベガスのデビュー戦となった昨年11月のモロニー戦は無観客だったが、今回は有観客興行となる。本場のファンの目の前でファイトする井上は「現地のファンの心をぐっとつかんで帰ってきたい。そして日本のファンの方は(コロナ禍で)テレビを通してになりますが、勇気を与えられる試合したい」と言葉に力を込めていた。【藤中栄二】