元世界5階級王者で同級1位のノニト・ドネア(38=フィリピン)が、王者ノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)に4回1分52秒、TKO勝ちし、王座返り咲きを果たした。これで戦績は41勝(27KO)6敗とし、同級では史上最年長王者になった。ウバーリは18戦目で初の黒星となった。

立ち上がりは手数が少なかったドネアだが、3回に得意の左フックで2度のダウンを奪った。続く4回には1分半すぎに連打で王者を追い詰め、最後はロープに詰めて連打から左アッパーを決めてダウンを奪い、レフェリーが試合を止めた。「(セコンドから)自分の距離が取れているから大丈夫だと言われていた。最高の気分だ。ありがとう」と笑みを浮かべた。

2年前スパーリングをともにした時からウバーリを意識し始めた。「軽視していないが、ビッグパンチを与える自信がある」と話していた。宣言通りの圧勝劇に「相手の弱さが出た時に、たたみかけることができた」と振り返った。

勝利したことで19年11月に激闘の末に判定負けした、WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者、井上尚弥(28=大橋)へのリベンジマッチが現実味を帯びてきた。「今日の試合に勝ちたかったのはそのため。井上との試合を見据えている」と明かした。現時点では、次戦は8月14日予定のWBO同級王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)-WBA正規王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)戦の勝者との統一戦が候補と言われているものの、以前から「井上とのリマッチを望んでいる」と意欲を見せている。

歳を重ねるごとに調子は上がっている。「年齢は関係ない。ケアをすればいつまでも強くいられる」と言い切った。年間最優秀選手など、多くのタイトルや称号を手にし「あとは井上に勝つことだけ」と話すドネア。38歳が井上尚弥とのリマッチまで成長を続ける。