ロビー・イーグルスが、3度目の防衛を狙ったIWGPジュニアヘビー級王者のエル・デスペラードを破り、新王者となった。ロン・ミラー・スペシャルで強烈に絞め上げ、ギブアップを奪い「最高の気分」と笑顔を見せた。

10日北海道大会後に挑戦表明し、オーストラリアから来日。調整不足が心配されたが、現地の大会に出場するなどトレーニングを重ねてきた。前日24日愛知大会では、デスペラードのロコ・モノをかわし、一瞬のスキを突いて丸め込むなど、好調を維持していた。それでも膝を痛め、勝利後は歩けないほど。中盤以降ほとんど機能しない状態だった中、右足だけで踏ん張り、勝利を手にした。勝利後には仲間であるCHAOSのメンバーが駆けつけた。「オーストラリア風のクレイジーなやり方」と、履いていたシューズに酒を注いで飲み干し、祝杯を挙げた。

「何年間も夢見ていた瞬間が今、現実となった。まだ信じられない」。さまざまな思いがこみ上げる。19年6月、オーストラリアで同王者だったオスプレイに挑戦。実は1週間前に全十字靱帯(じんたい)を損傷していたのを隠し「言い訳はしたくなかった」と、テーピングを巻いて戦ったがベルトには届かなかった。オーストラリアに戻っていた時には、父を亡くした。「デビューからずっと応援してくれていた。今日は俺に力を貸してくれた」と目を細めた。

この日の試合前、ケガのため、同ベルトを返上していた高橋ヒロムがリング上で復帰宣言。この試合の勝者と戦うことを発表。イーグルスは解説席の高橋を見つめ、大きくベルトを見せつけた。「昨年負けているけど、俺はあれから強くなった。自分のすべてをかけて防衛していく」と誓った。ようやくつかんだ悲願のベルト。簡単には手放さない。【松熊洋介】