母のディーバ姿は阻止する。元SPEEDの今井絵理子参院議員の息子で、昨年12月にプロレスリングヒートアップでプロデビューした礼夢(16)が17日、川崎大会(とどろきアリーナ)で全日本のヨシタツとのシングルマッチに挑む。

礼夢は勝ったときの条件として、ユニット「ヨシタツキングダム」入りとあこがれのWWE挑戦へのサポートを要求した。米WWEに7年在籍したヨシタツからの条件は「僕が勝ったら母の今井絵理子参院議員にヨシタツキングダム入りしてもらい、ディーバになってもらう」。すでに今井議員のもとを訪れ、直談判。1度目はアポなしで断られたが、2度目は対面して思いを伝えたという。

3日の会見では、ヨシタツの描いたTバック姿のイラストを見て、礼夢は「恥ずかしい」と困惑した表情を見せた。母からは礼夢へのメッセージは「絶対に勝ってほしい」。母の思いに応え、自分の夢のためにも絶対に負けられない。

生まれつき先天性難聴という障がいを抱えながら、高校進学を諦め、プロの道へ。毎日1人で電車で道場に通い、昨年10月プロテストに合格した。デビュー当時はプロのパワーに圧倒され、エルボーやドロップキックもほとんど効かなかったが、厳しい練習をこなし、徐々に成長。8月の大会では実力者の新井から3カウントを奪い、初勝利を挙げた。以前は「やりたいことが見えてこない」と話していた新井だったが、敗戦後は「力強さが出てきた」と評価した。

166センチ、67キロ。これまで対戦してきた選手とは体格で劣る。最近では体重こそ変わっていないが「トレーニングを重ねて技の数も増えてきた」と成長を実感している礼夢。「WWEに出られることを目指して盛り上げられるように頑張りたい」。187センチ、108キロのヨシタツに真っ向から立ち向かう。

今回の会場のとどろきアリーナは、昨年12月のデビュー時に「反響がすごかった」と感じたTAMURAがすぐにおさえたという。当日は同じ難聴の子どもたちにも楽しんでもらうような企画も準備。コロナ禍で満員とはならないが、母をはじめ、多くの人たちの期待に応え、飛躍の舞台にする。

WWEへの道が開けるのか、元アイドルのディーバ姿が実現してしまうのか。礼夢の戦いに注目が集まる。【松熊洋介】