清宮海斗(25)が完全復活の兆しを見せた。16選手による「N-1 VICTORY」Aブロックで征矢学に勝利し、勝ち点2を獲得。序盤から征矢の連続攻撃に防戦一方だったが、何度もピンチをしのぎ、チャンスを待った。20分を超え、強烈なフェイスロックで流れをつかむと、最後はタイガースープレックスホールドで粘る征矢を沈めた。

悩み続けた男が、覚悟を持って臨んだN-1で生まれ変わった姿を見せた。勝利後両手を広げ、雄たけびをあげた。「やっと、やっと前に進めた気がする」。序盤場外で倒れ込み、リングに戻って来られず、征矢に引き揚げられる屈辱も味わったが、最後までギブアップせず、大きな声で自分を鼓舞し続けた。

3月にGHCヘビー級選手権で武藤に敗れ、自分を見失ってから半年。苦悩の日々が続き、あっさり3カウントを奪われるシーンも。敗戦後には「どうしたらいいんだ」と自暴自棄にもなっていた。今月3日の横浜大会でNOSAWA論外からギブアップを奪い、光が見えた。「自分で勝手に迷い込んでいるだけかもしれない。先に進みたいし、やりたいことがある」。N-1優勝に向け、立ち上がった。

ピンク色の髪を黒に変え気合を入れた。体も引き締まり、何度も立ち向かってくる征矢に8度のかち上げを浴びせるなど、力強さが戻った。次戦は21日杉浦戦。その後は武藤との対決も控える。「まだ初戦。2人を倒して、たまっていたものを動かしていく」。完全復活へ“ニュー清宮”が勢いを加速する。【松熊洋介】