ボクシング東洋太平洋バンタム級王者中嶋一輝(28=大橋)が真価を問われる一戦に臨む。19日、東京・後楽園ホールで開催されるフェニックスバトル81大会(日刊スポーツ新聞社後援)で、同級2位の元王者栗原慶太(28=一力)との初防衛戦に臨む。お互いに世界ランキングにも入っており、世界へ向けたサバイバル戦とも言える。中嶋は「KOは絶対にしたい。(元王者栗原には)難しいけれど、狙っていきたいです」と3回以内で倒すというハードルを自ら課した。

アマチュアだった芦屋大3年時に国体を制覇。同4年時には関西リーグMVPにも輝き、17年春に大橋ジムに入った。右利きのサウスポーとなったきっかけは同学年で現在は同門の現WBAスーパー、IBF世界同級王者井上尚弥(28)との対戦だった。中学1年時、井上との対戦で負けて「右構えではダメ」とサウスポーに構えを変えた経緯がある。井上とは今春も4回のスパーリングで拳を交え「1番は悔しかったですね。あんなに違うのかと思った」と唇をかんだ。その姿に大橋秀行会長(56)は「尚弥とのスパーであからさまに悔しがる選手は少ない。あの姿勢が中嶋を強くする」と期待を寄せた。

栗原戦に向けた実戦練習は井上の弟で元WBC世界同級王者の拓真(25)がパートナーだった。今年1月に栗原を9回負傷判定で勝利した拓真とのスパーリングも大切な経験になった様子。「僕が前に出て(栗原を)下がらせたいですね」と気合を入れ直した。

王座奪取より難しいとされる初防衛戦となる。今年5月に千葉開(横浜光)との王座決定戦でつかんだ赤い東洋太平洋王座ベルト。同じ階級の井上尚弥、拓真兄弟にもまれてきた中嶋は「(試合への)手応えはある。元王者対新王者ですが、新しい方が強いところをみせたい」。ベルト死守を誓い、19日を待ち構えている。【藤中栄二】