ボクシングWBC世界ライトフライ級新王者の矢吹正道(29=緑)と、前王者の寺地拳四朗(29=BMB)の再戦が決まった。

大阪市内で15日、興行権を持つ真正ジムの山下正人会長、緑ジムの松尾敏郎会長、BMBジムの寺地永会長が記者会見し、WBCから再戦命令が届き、両陣営で合意したと発表した。山下会長は「今日初めて3人で会い、再戦の合意に至った」と説明した。22年春の開催で、会場は未定。日本選手同士の世界戦では異例のダイレクトリマッチ(直接再戦)となりそうだ。

両者は9月22日に京都で対戦。矢吹が10回TKO勝ちし新王者に就いた。だが、9回に寺地が右まぶたをカットした場面について、寺地陣営は「故意のバッティング」とし、10月5日付でJBC(日本ボクシングコミッション)などに質問状を送付。JBCから「故意とは認定できず」との趣旨の回答があった。

その後、10月中旬にWBCからの再戦命令があったが、JBCから両陣営への通達が滞っていたことも明かされ、11月10日になって命令の事実が確認でき、再戦合意へ至ったとした。矢吹は現役続行を表明、9度目防衛に失敗した寺地はいまだ進退について言及していないが、近日中に判断する予定だ。【三宅ひとみ】

 

◆ここまでの動き

▽9月22日 矢吹が9回に攻撃を仕掛け、寺地の右目上をカット。10回TKOで矢吹が、寺地のV9を阻止して王座奪取。

▽10月5日 寺地側が(カット場面は)頭を下げて相手にぶつける「故意のバッティング」とし、JBCに質問状を送付。

▽同14日 新王者・矢吹の現役続行が判明。

▽同18日 WBCからJBC宛てに「再戦命令」のレターが届く。

▽同27日 寺地側に、26日付で「確定的な故意は認められない」といった趣旨の回答書が届く。

▽同29日 矢吹側の緑ジム松尾会長がJBCに問い合わせ「再戦の連絡は来ていない」と伝えられる。

▽11月8日 BMBジム寺地会長が会見し、JBCの回答を不服とし再抗議。

▽同10日 両陣営にJBCから、WBCからの「再戦命令」が出たと伝えられる。

 

◆主な「再戦」タイトルマッチ

▼村田諒太-ロブ・ブラント(米国) 村田がWBAミドル級で2回目防衛戦として18年10月にラスベガスで初対戦し判定負け。19年7月に大阪で再戦、2回TKOで王座奪還した。

◆長谷川穂積-ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ) 05年4月に世界初挑戦で判定勝ちし、WBC世界バンタム級王者に。06年3月に神戸で2度目防衛戦として再び対決し、9回途中TKOで防衛に成功した。

◆徳山昌守-川嶋勝重 日本ジム所属同士の対決は、03年6月にWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチで徳山が判定勝ち。04年4月の再戦で川嶋が1回TKO勝ちで王座を奪う。05年7月、3度目対戦で徳山が判定勝ちし返り咲き。