新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の急拡大が、日本ボクシング界にも直撃した。史上最大のビッグマッチだったWBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(35=帝拳)とIBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(39=カザフスタン)の王座統一戦(29日、さいたまスーパーアリーナ)が来春に延期されると3日、発表された。WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(32=志成)が31日に臨むIBF同級王者ジェルウィン・アンカハス(29=フィリピン)との王座統一戦(東京・大田区総合体育館)の中止も同日発表されるなど、計3つの世界戦が影響を受けた。

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日本ボクシング界に激震が走った。11月29日に発表された政府による外国人の新規入国を原則禁止した影響で、村田が29日に対戦するはずだったゴロフキンの来日が困難になった。3日午前中、ゴロフキン陣営の来日に関する申請が現時点で受け入れられないとする連絡がスポーツ庁から入ったという。同陣営は米国、ロシア、カザフスタンなどから約20人が来日する予定だった。またダブル世界戦として組まれていたWBO世界フライ級王者中谷潤人(M.T)の2度目の防衛戦も同様に延期となる。

興行を主催する帝拳ジムは同カードを来春へ延期とした上で「今後は関係各位との協議の上、感染状況を見極めながらあらためて開催日時を検討いたします」と説明。同日に公式SNSを更新した村田は、同カード実現に向けて尽力した関係者や楽しみにしてくれたファンに感謝しつつ「私個人としては今回の事は真に自分の人生を愛するための試練だと受け止めております」などと率直な思いをつづった。

日本人初の五輪金メダリストで世界王者となる村田が世界的人気スターと拳を交えるビッグマッチは仕切り直しに向け、両陣営が話し合いを続ける。ゴロフキンも公式SNSを通じ「日本での戦いが延期されたことに深く失望していますが、国民の健康と安全が常に優先です。一刻も早く(村田)諒太とリングに戻ることを楽しみにしています」と早期の日程再セットを期待した。

村田-ゴロフキン戦の興行総費用は88年、90年に東京ドームで開催された元統一ヘビー級王者マイク・タイソン戦の総額20億円を超える過去史上最大規模とされている。またチケット最高額もタイソン戦の15万円を超える22万円と設定されるなど、日本ボクシング界史上最大規模のビッグマッチとして注目されていた。関係者によると、22年2月以降を想定し、日程が再調整されるという。