総合格闘技RIZINは31日、埼玉・さいたまスーパーアリーナで33大会を開催する。

中継は、フジテレビ系列で行われるテレビ地上波に加え、「スカパー!」「RIZIN LIVE」「Exciting RIZIN」「U-NEXT」で番組ごとの視聴課金となるPPV(ペイ・パー・ビュー)生配信が行われる。地上波が午後6時から11時45分までの一部生配信の一方、PPVは、午後1時半から全試合を生中継。前売り5000円、当日5500円のチケットを購入することで、視聴できる仕組みとなっている。

PPVは、米国の格闘技やボクシングイベントなどでは80年代から主流となった。近年の日本では視聴環境が限定されることもあって認知度は高くなかったが、RIZIN榊原信行CEOは「格闘技の衝撃的なインパクトやエネルギーとシナジーがある」と、早くから大きな可能性を見いだしていた。

RIZINは、新型コロナウイルス感染症拡大によって完全な形での集客が難しくなると、いち早く、計画していた新たな興行形態を実行した。PPV限定のスタジオマッチ、ランドマーク大会を今年10月に開催。U-NEXT独占配信された同大会は、集中アクセスによるサーバーダウンで、予定開始時間から1時間遅れるアクシデントにも見舞われた。

14日には、ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥の2年1カ月ぶりの国内世界戦もテレビ地上波ではなく、「ひかりTV」「ABEMA」のPPVのみで生中継が行われた。井上の所属ジム大橋秀行会長が「感無量。PPVはこれから進まなくてはいけない道」と話した。

RIZIN榊原CEOは日本の格闘技の発展には、PPVと地上波の放送バランスが大切だと説明する。PPVは「本当に見たい人たちに高品質なものを有料でお届けする収益モデルとして最適」とし、今後の主な放送に活用していくという。一方で「日本は6局しか放送局がないのでそのパワーは絶大。地上波で無料で多くの人にお届けすることで、格闘技の市民権を広げたい」と年に数回、テレビ地上波での放送も続けていくプランを明かした。

コロナ禍の影響も重なり、日本格闘技界の中継スタイルが転換期を迎えている。【勝部晃多】