プロレス界史上初の日本武道館元日興行となった大会で、赤が似合うのは誰かを証明した。

セミファイナルのGHCナショナル選手権で、この日37度目の誕生日を迎えた王者拳王が、挑戦者の清宮海斗(25)を失神KOで退け、2度目の防衛に成功した。

金剛のユニットカラーの赤いコスチュームを身にまとった拳王は、真っ赤な羽織はかま姿で入場したライバルを、リング上でぐっとにらみ付けた。ここまで8度のシングル対戦で6勝2敗と勝ち越している相手だが、容赦はいっさいしなかった。試合中盤、清宮を鉄柵へ投げて場外へ追いやると、場外マットでブレーンバスターをさく裂し「どうした? 来いよ」と挑発。蹴りの連打やソバットを打ち込むなど、日本拳法仕込みの打撃を存分に見せつけた。

それでも、相手は、がむしゃらに立ち向かってきた。「いい魂をするようなった」と認めるほど苦戦を強いられたが、最後は渾身(こんしん)の右ハイキックで決めた。レフェリーがすかさず止めに入る失神KO。赤いベルトを、赤い日の丸の下で死守して見せた。

これで、自身が持つ最多通算防衛回数を8度に更新した拳王。「俺の夢であった日本武道館のメインで、1番最後に入場することはかなわなかった。でも俺はあきらめない。そのために防衛したんだ!」と宣言した。この日、今年7月16日、来年1月1日に日本武道館大会の開催が決定。メインイベントをつかむため、赤い魂を燃やし続ける。