最強王者がUFCヘビー級王座を統一した。UFCヘビー級正規王者フランシス・ガヌー(35=カメルーン)が同級暫定王者シリル・ガーヌ(31=フランス)と同級タイトル戦5分5回で対戦し、3-0(48-47×2、49-46)の判定勝利で防衛に成功した。短期間ながらフランス・パリのジムで練習仲間だった無敗の後輩ガーヌにプロ初黒星をつけて最強を証明した。

暫定王者の後ろ回し蹴りで距離感を詰められないガヌーだったが、パワーで押した。序盤から好機にケージ(金網)際に押して組み、グラウンド技に入ろうと試みた。2回までは相手の蹴り技に手を焼いていたものの、3回にはテークダウンにも成功。4回には投げるように倒し、グラウンドの攻防でも上回った。最終5回に距離を詰めてきたガーヌの攻撃をしのぎ、敵の体力を削るようにグラウンド技を続けた。

過去にはスタミナ不足、グラウンド技術の不安も指摘されてきた正規王者ガヌーだったが、初めて判定での勝利をつかんで「進化」を証明した。王座統一戦に向けて膝の前十字靱帯(じんたい)を損傷していたことを明かしたガヌーは「王者であることを証明できた。これまでレスリング、柔術のコーチにグラウンド技をたたき込まれてきた。この勝利をチームとともに喜びたい」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

カメルーンのバティエ村の貧困家庭に生まれ、両親は6歳の時に離婚。貧しく、学校に通うこともできなかった。26歳の時、ボクサーになろうとフランスに渡ったものの、路上生活を強いられた。ようやく住み込みのジムをみつけ、13年に総合格闘家デビューを果たし、29歳の時にUFCと契約を結んだ。この経歴を踏まえ、多くのUFCファンの共感を得ているガヌーは「常にどの方向の試合になっても準備をしている。ここでは人生を懸けるというより趣味として楽しんでいくさ」と統一したベルトを強く握りしめていた。