元サッカー日本代表FWカズの次男で総合格闘家の三浦孝太(20=BRAVE)が、満を持してプロ2戦目に挑む。

31日に総合格闘技RIZIN37大会(さいたまスーパーアリーナ)で、フェリペ“キングハンター”マソーニ(36=ブラジル)と66キロ契約体重3分3回で対戦。昨年大みそかには、1回TKO勝ちの衝撃デビューを飾った。リトルキングの7カ月ぶりの一戦に向けて連載を展開。第1回は「原点」。

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キングの遺伝子を受け継ぐ三浦は当時、大みそかの夢舞台でKO勝利を飾ると、高々と宣言した。「これから格闘技界のキングになれるように一生懸命頑張るので、僕のファンになってください」。

あれから7カ月。日刊スポーツの取材に応じた三浦は体が一回り大きくなり、年齢も20歳になった。ただ、楽しむ心はデビュー戦から何ひとつとして変わらない。「(観客の)みんなに何が見せられるんだろう」。白い歯をのぞかせ、楽しみで仕方がない様子だ。6月24日の対戦カード発表時には「次のスターに自分がなれるように」「最後はサッカーボールキックで仕留める」など、よどみなく決意を語った。

プロ1年目らしからぬ堂々の立ち居振る舞い。そんな強心臓は、高校時代の経験が大きく影響している。それまでは「めちゃくちゃ嫌なやつだった」という。自己中心的で両親に迷惑をかけることも多かった。だが、東京・明星学園高入学を機に、周りの景色は一変した。小中は学校になじめなかったというが「学校ってこんなにいいところなんだ」と、目からうろこが落ちた。

担任の先生は、友達のように対等に接してくれた。生徒を叱る時も、友達を諭すような姿勢だった。部活動の顧問もそうで、「サッカー推薦で入ってきたにもかかわらず、僕が格闘技をすることを応援してくれました」。17歳の頃から格闘技に熱中し、部活には足が遠のいていた。それでも、格闘家を目指すと伝えると、「本気でトップを目指してくれ」と背中を押してくれた。コミュニケーションの1つ1つに「これが目指すべき大人なんだ」と学びがあった。

同級生には刺激を受けた。「DJを目指している子が、授業中に曲を探していたんです。それが先生に見つかって、普通だったら怒られるじゃないですか? でも、逆に応援されていました。その子が本気だったから」。高い志を持ち、目標に向かって一直線。そんな姿勢に、夢に向かう意欲はかき立てられた。

三浦にとって、原点は高校生活にあった。心を通わせ、刺激を受けた3年間が誇りとなって、試合の緊張や恐怖をはね返す。「大学に行かないという決断も、最終学歴を明星学園にしたかったという思いがあったから」と言い切る。今回の、入場曲も大好きな「男はつらいよ」を選んだが、ラップバージョンにアレンジしてオリジナルの歌詞を入れた。そこには「フロム明星」とある。個性を大切にしてくれた学校への感謝。その思いを持ち続け、リトルキングはリングへ上がる。【勝部晃多】

◆三浦孝太(みうら・こうた)2002年(平14)5月28日、神戸市生まれ。サッカー元日本代表FWカズ(三浦知良)とタレント三浦りさ子の次男。兄は俳優の三浦りょう太。東京・明星学園高時代はサッカー部に所属するも、17歳の時に格闘技に熱中しプロ格闘家を志す。卒業後は進学せず、宮田和幸氏のジムBRAVEで研さんを重ねる。175センチ、66キロ。

※三浦りょう太の「りょう」は狩の守が僚のツクリ

◆明星(みょうじょう)学園 1924年(大13)創設の私立学校法人で、小学校、中学校、高等学校を擁する。「自由」と「個性」を尊重する学風で、芸能界やスポーツ界などに多数の著名人を輩出している。主な卒業生は俳優の小栗旬、宮崎あおい、歌舞伎役者の中村獅童、プロバスケットボール選手のオコエ桃仁花。所在地は東京都三鷹市井の頭5の7の7。平田和孝理事長。