元WBA、WBC世界スーパーウエルター級王者輪島功一氏(79)の孫、磯谷大心(21=輪島功一スポーツジム)が3戦連続KO勝ちで、東日本ウエルター級新人王初戦を突破した。田中慧士(22=花形)との同級4回戦に臨み、3回1分50秒、TKO勝利。左ボディー、右ボディーで追い詰め、レフェリーストップで白星を手にした。準決勝は9月26日、佐藤賢治(30=REBOOT.IBA)と対戦予定。祖父と同じ全日本同級新人王を目指し、上々のスタートを切った。

   ◇   ◇   ◇

強烈なボディーブローで勝負を決めた。2回に左フックを打ち込んだ磯谷は3回にとどめを刺した。右ボディーで相手の体をくの字の曲げた。防戦一方の敵に左拳を連打して仕留めた。「最初の1分間は相手を分析したが、タフで倒れなかった。(最後は)ボディーが効いたのかな」。レフェリーストップによるTKO撃破を冷静に振り返った。

21年10月、羽賀彬光(DANGAN越谷)に1回TKO勝ちでプロデビューし、今年4月の細谷洸太(花形)にも1回KO勝ち。2戦連続初回KO撃破で東日本新人王の舞台に乗り込んだ。「1回KOを狙っていました。良い右ストレートが入ったのに倒れなかったので、焦ってしまいました。KOできたのが唯一の救い」。3戦連続の1回KO勝ちは逃したものの、3戦連続KO勝利に安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

元プロボクサーでトレーナーの父和広氏、輪島氏の長女となる母大子(ひろこ)さんという強力なDNAを引き継ぐ。22年の目標は祖父と同じ全日本新人王の獲得に設定。「今日はたくさんの課題が出た。3回まで戦えたことも良い経験になったと思う」と前向きだ。リングサイドで激励した祖父輪島氏は「ボディーからいけばチャンスがあるし、上(顔)が空くからいけと伝えた。言ったことに少しでも近づけようとする心意気を感じた。(採点は)90点と言いたいが、70点だよ」と今後の成長に大きな期待を寄せた。

順当に勝てば11月3日に決勝、東日本新人王になれば12月17日予定の全日本新人王決勝に進む。磯谷は「決勝に向けてしっかりレベルアップしていきたい」と気合十分。祖父と同じ道を目指し、磯谷は確実な第1歩を踏みだした。【藤中栄二】

◆磯谷大心(いそたに・たいしん)2001年7月4日、東京・三鷹市生まれ。幼稚園からサッカーを始める。ポジションはGKで、強豪校の埼玉・正智深谷高3年まで続けて最高成績は県2位。中学時代から体力づくりのため、ボクシングジムにも通う。人気ファイト漫画「グラップラー刃牙(ばき)」で格闘技に興味を持つ。19年12月から本格的にボクシングの練習を開始。20年10月、プロテストに合格。家族は両親と弟2人。身長182センチの右ボクサーファイター。血液型はB。