日本選手史上最年長ボクサーが、その進退に揺れている。

前WBOアジアパシフィック・ミドル級王者の野中悠樹(44=渥美)が25日、電話取材に応じて現在の心境を語った。

野中は7月24日に3度目の防衛戦を戦い、敗れた。2階級下、日本ウエルター級7位だった能嶋宏弥(26=薬師寺)に6回1分1秒TKO負けでベルトを失った。立ち上がりから精彩を欠き、一方的に殴られた。2回に鼻血で顔面を染め、3回にもダウン寸前に追い込まれた完敗だった。

日本で活動するボクサーの“定年”は37歳。自動的にライセンスは失効となるが現役の王者、世界戦に準ずる選手は一定の条件をクリアすればリングに立つことができる。該当する野中は、国内現役の最年長記録を更新してきた。ベルトを奪われた今回、引き際かと思いきや、能嶋との再戦プランが浮上している。

オプション(興行権)の関係もあり、11月20日に名古屋でと具体的に進行している。野中は「気持ちとしてはもちろんやりたい。でも体にいろいろガタがきているというか、やはり万全の体調でなければリングには上がれない」。来月初旬が回答期限だが、現時点では態度を保留している。

前回試合の悔いは強い。「言い訳になりますけど、一番の原因は調整の失敗。体が動かなかった」。これは精神的な“やりたい”理由。一方で肉体の悲鳴も聞こえている。これまでも左アキレス腱(けん)断裂に左拳骨折など選手生命が危ぶまれる大けがを乗り越えてきた。その蓄積したダメージか、今は両肘と脚に違和感を感じているという。

日本選手にとって世界との分厚い壁がある階級で、それでも世界に挑む夢はあきらめられない。

「ジムワークはまだですが、ロードワークは始めています。結論は出さなければいけないけど、体との相談ですね。結果を出さなければ何もならないですから」

進むのか止まるのか。

挑戦を続けてきた「おじさんの星」は現実を見据えながらじっくりと決断を下す。【実藤健一】