「猪木イズム最後の継承者」と呼ばれる藤田和之(51)が7日、1日に心不全で死去した師匠のアントニオ猪木さんから継承したイズムをリング上で体現した。

メインイベントで、猪木さんが07年に旗揚げしたIGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション)でデビューした鈴木秀樹(42)とタッグを結成。現GHCヘビー級王者の清宮海斗、稲村愛輝組と対戦し、16分37秒、自らのパワーボムで3カウントを奪取した。

継承した「猪木イズム」は言葉ではなく態度で示した。最強が勝つ-。張られたら張り返す。投げられたら投げ返す。30日の東京・有明アリーナ大会で挑戦するGHCヘビー級王者清宮を相手に、強者が生き残るストロングスタイルを見せつけた。試合後のバックステージでは「見ての通り。強いやつが上に行くんだよ。ベルトはもらったよ!」と豪語。猪木さんについて問われると「知るか。ばか!」と一言。興奮気味に会場を後にした。

大会前のセレモニーでは、武藤敬司、船木誠勝らとともにリングに上がって追悼の10カウントをささげていた。

藤田は96年に新日本プロレスに入門し、猪木さんの最後の付け人を務めた。2000年に退団すると、猪木事務所所属となり「PRIDE」などの格闘技イベントに参戦。プロレスや総合格闘技を通して、闘魂を体現してきた。入場曲は猪木さんの「炎のファイター」をオーケストラバージョンで継承している。

2日には都内の自宅へ弔問。「僕らの前ではいつも元気な姿。カツを入れていただいた。出来の悪い弟子ですから。感謝しかない」。涙で声を詰まらせながら天国の師をしのんでいたが、リング上ではそのファイトで師への思いを示していた。