ほろ苦デビューとなったが、やりきった。タレントのフワちゃんが、葉月(25)と組み、タッグマッチに出場。

約半年の修行を積み「本気で魂をぶつける」と初めてプロレスのリングに挑んだが、14分29秒、上谷沙弥(25)に押さえ込まれ、無念の3カウントとなった。ワンダー・オブ・スターダム王者と女子高校生レスラーの妃南に屈し、初勝利はお預けとなった。

試合後は悔しい表情を見せたが「頭も首も肩も腰も全部痛い。痛すぎたけどプロレス、本当にプロレスめっちゃ好きかも。本当にあたしも本物のプロレスラーになりたいと思った」と興奮気味に話した。

試合前には「ボコボコにするのもボコボコにされるのも、生まれてはじめて! すごい人生だ! 最高の日にするぞ」とツイート。アザだらけの体で、堂々とリングに上がった。中学時代にはバスケット、高校では陸上部に所属していた運動センスをリング上で発揮。高い位置からのドロップキックや、素早い身のこなしで相手の蹴りをかわすなど、フットワークの良さを見せた。あわや3カウントのシーンが何度も訪れたが、ギリギリで返し、会場を盛り上げた。最後は王者・上谷のファイヤーバード・スプラッシュに屈したが、充実感にあふれた表情を見せた。

9・11横浜武道館大会で突然現れ、参戦を表明。その後日本テレビ「行列のできる相談所」の企画であることが番組内で発表された。親交のある、プロレス好きのくりぃむしちゅー有田哲平にも相談。レジェンドたちの試合を見ることを勧められ、知識を習得した。

忙しいタレント活動の合間を縫って、毎日筋トレを行い、準備をしてきた。自ら道場に行くだけでなく、仕事の合間に葉月にテレビ局まで来てもらい、マットを敷いて練習することもあったという。葉月は「言わなくても自主的にやってくれた」と成長に目を細めた。練習を重ねるにつれ、だんだん“本気”モードに。週1回程度だった練習回数は2~3回に増え、いつしかカメラが回っていることも忘れるほど真剣に向き合うようになっていた。

スターダムには、タレントやモデル出身のレスラーもたくさん在籍しているが、ネット上では賛否両論もあった今回の参戦。それを理解した上で思いを貫いた。アイドル活動の経験がある対戦相手の上谷は「フワちゃんは立派なプロレスラーだよ。スターダムからデビューしてくれてありがとう」とたたえた。

試合後は、敗れて悔しがるフワちゃんの姿に大歓声。「テレビの企画で、編集してもらって終わりじゃ、嫌です。大人たちに意見を仰いだりしないといけないけど、もう1回やらせてください」と再戦に燃えた。団体が起爆剤のために要請したわけではない。自らの強い意志でリングに上がったフワちゃん。結果は思い通りにはいかなかったが「プロレスラー・フワちゃん」のたくましい姿をファンの目に焼き付けたことは間違いない。【松熊洋介】