プロボクシング前4団体統一バンタム級王者の井上尚弥(29=大橋)が5月7日、横浜アリーナで無敗のWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(28=米国)に挑戦することが6日、発表された。同級初戦でいきなり世界挑戦し、国内2人目の世界4階級制覇を狙う。

同日、都内のホテルで試合発表会見に臨んだ井上は「まずこのフルトンとの試合を、ここ日本でできることが、どれだけの方のご尽力いただき、すごいことなのかを感じながら、結果として返していきたいと思います。過去最大のモチベーションで臨んでいけると思います。フルトン選手は自分のボクシングを持っている。どう突破口を開いて戦っていくかだと思います」と強い意気込みを示した。

昨年12月、当時のWBO世界バンタム級王座ポール・バトラー(英国)を11回KOで下し、史上9人目、アジア初の4団体統一に成功。今年1月に4団体のベルトをすべて返上し、スーパーバンタム級への転向を表明し、WBC、WBO世界同級1位にランキングされていた。世界初となる2階級での4団体統一を目指し、フルトンから2団体王座奪取を狙う。

12年10月にプロデビューした井上は14年4月にWBC世界ライトフライ級王座を獲得し、同年12月にはWBO世界スーパーフライ級王座も奪取。18年5月にWBA世界バンタム級王者となって世界3階級制覇を成し遂げた。19年には階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズのバンタム級で優勝し、昨年6月には創刊100年を誇る権威ある米老舗専門誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド(階級超越した最強ボクサー)ランキングで日本人初の1位に輝いている。

一方、フルトンはアマ戦績75勝15敗で14年10月にプロデビュー。20年までの6年のキャリアで18勝(8KO)無敗、かつ7人の無敗選手を撃破した。KO率は38%と高くないが、ディフェンス力は抜群。両足スタンスを広く保ち、中長距離から左ジャブを好打しながらリズムに乗る右ボクサーファイターだ。21年1月、WBO王者アンジェロ・レオ(米国)に判定勝ちし世界王座獲得。同年9月、WBC王者ブランドン・フィゲロア(米国)も撃破し2団体統一王者となった。昨年6月、久保隼、松本亮を倒した元2団体統一王者ダニエル・ローマン(米国)にも判定勝ちし、同級最強を証明している。