ボクシング前4団体統一バンタム級王者の井上尚弥(29=大橋)が、5月7日に横浜アリーナで無敗のWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(28=米国)に挑戦することが6日、正式発表された。同級初戦でいきなり世界挑戦。衝撃KO勝利を決めてきた2度の階級転向初戦同様、圧勝劇での国内2人目の4階級制覇へ-。米で知名度の高い実力派の2団体統一王者から、ベルト2本をまとめて奪う。

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都内の高級ホテルで開かれたフルトン戦発表会見。ストライプのスーツ姿の井上が声をはずませた。

「フルトン戦を日本で出来ることは、どれだけの方にご尽力をいただき、どれだけすごいことか。自分自身で思いながら、結果として返していきたい」

スーパーバンタム級転向初戦で世界挑戦。外国勢の2団体統一王者が日本で防衛戦に臨むのは、14年にWBA、WBO世界同級王者リゴンドー(キューバ)に天笠尚が挑んでTKO負けを喫して以来、約8年半ぶりとなる。さらに今回は、実力を認知される米国人の2団体統一王者に、初めて米以外での防衛戦を選択させた。今の井上には、それだけの世界的な価値がある。

「過去最大のモチベーションで練習に励んでいける。フルトン選手は自分のボクシングをしっかり持って戦う。どう攻略し、突破口を開いていくかがカギ」。日本人初となる2団体統一王者撃破へ、自信の笑みを浮かべた。

階級転向初戦の井上は強い。14年12月のスーパーフライ級転向初戦は、2階級で計27度の防衛を誇ったWBO王者ナルバエス(アルゼンチン)に2回KO勝ち。バンタム級初戦の18年5月のWBA王者マクドネル(英国)戦は、鬼のラッシュで1回TKO勝ちした。

「過去にも階級を上げて『ここぞ』の試合は、ものすごく良い試合ができた。それが最大のモチベーションを生み出すパワーだと思う。自分に期待して挑みたい」

日本ボクシング界最大規模に匹敵する世界注目のビッグマッチ。大一番で再び『ここぞの井上』が見られそうだ。【藤中栄二】

★こんなに強い、井上尚弥の転級初戦VTR

◆ライトフライ級→スーパーフライ級 WBC世界ライトフライ級王座返上後の14年12月30日、2階級上げてWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦。11連続防衛中で世界フライ級王座も16度防衛した最強王者から4度のダウンを奪い、2回3分1秒でKO勝ち。当時世界最速の8戦目で2階級制覇達成。

◆スーパーフライ級→バンタム級 7度防衛したWBO世界スーパーフライ級王座を18年3月に返上し、同年5月25日に1階級上のWBA世界バンタム級王者ジェイミー・マクドネル(英国)に挑戦。身長で10センチ上回る王者から初回に左ボディーブローでダウンを奪うと一気にラッシュして、1分52秒でTKO勝ち。16戦目で3階級制覇に成功した。

○…フルトン-井上戦は4月12日にスタートするNTTドコモの新たな映像配信メディア「Lemino」(レミノ)で独占無料生配信される。NTTドコモの前田義晃副社長は「試合を独占生配信するとともに、試合の見どころを紹介する特別番組も合わせて提供する。これらの番組は完全無料。チケットプレゼントなどのキャンペーンもレミノの公式サイト等でご案内していきます」と話した。