日本フライ級7位永田丈晶(25=協栄)がプロ5戦目で同級王座を獲得した。昨年4月に世界挑戦も経験した同級1位山内涼太(28=角海老宝石)と日本ベルトを懸けて争い、3-0(96-94×3)の判定勝利で新王者となった。無尽蔵のスタミナで動き回り、的確に左ストレート、左ボディーストレートをヒットさせ、パンチの破壊力を持つ山内との打ち合いを制した。

プロでの実績、経験、ランキングで上回る山内を下した永田は「こんなに早くチャンスをいただけた。(山内は)マジでパンチが強くて、ガードの上からもらっても強いと感じた。ただ自分のボクシングを貫くことができて、相手のスタミナを削れることができた」と想定通りの試合運びができたと明かした。

高校時代に国体を制覇し、中大でもボクシング部に在籍。大学卒業と同時に競技を辞め、求人の広告会社に入社した。アマ時代に対戦し、勝っていた「ミライモンスター」松本圭佑、アマ8冠の中垣龍汰朗(ともに大橋)のプロでの活躍に触発され、会社近くにある協栄ジムに入門。プロデビューから格上相手、アウェーでも勝利を重ね、気がつけば日本ランキング入りしていた。WBA世界同級1位ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)の日本同級王座返上後、他の上位ランカーの試合間隔や負傷状況、次戦決定などで巡ってきた挑戦権をすぐに受諾した。

毎試合、リングサイドで応援してくれた父勝之さんが、昨年11月、大動脈破裂のため、55歳で亡くなった。3~4歳から空手をはじめ、高校からボクシングを開始。その永田のそばには常に父がいたという。「おやじがいたから、ボクシングを続けてこれた。今日もリングサイドで応援してくれていると思う。おやじのおかげでチャンピオンになれたと思う」と感慨深げ。腰に日本王座ベルトを巻き、その姿を亡き父に届けるようにガッツポーズしていた。