「重岡兄弟」がKOリレーで史上初を成し遂げた。

IBF4位の弟・銀次朗（23＝ワタナベ）が、同級3位レネ・マーク・クアルト（26＝フィリピン）に初回ダウンを喫しながら9回2分55秒、逆転KO勝ち。メインを務めたWBC3位の兄・優大（26＝ワタナベ）は同級7位ウィルフレド・メンデス（26＝プエルトリコ）に7回25秒KO勝ちした。兄弟の同日、同階級の戴冠は初の偉業。目標の兄弟での世界ミニマム級4団体王座独占へ、ともに進む。

　　　◇　　　◇　　　◇

重岡優大（26＝ワタナベ）が世界初挑戦で王座獲得に成功した。元WBO同級王者メンデス（26＝プエルトリコ）とのWBC同級暫定王座決定戦に臨み、7回0分25秒、KO勝ちで新暫定王者となった。自身の26歳のバースデーを祝い、先にIBF暫定王座を獲得した弟銀次朗（23）と、リング上で国内初の同日兄弟世界王者達成の瞬間を味わった。

圧力をかけ、メンデスに詰め寄った。5回、思い切りの良い左でダウンを奪った。7回に左ストレートでダウンを追加。正規王者パンヤ（タイ）のインフルエンザ感染で1週間前に決まったメンデスとの暫定王座決定戦を制し「ここがゴールじゃない。ここからがスタート。もっと強くなりたい」と言葉に力を込めた。

弟が世界王座獲得後、セコンドに入って支えてもらった。「正直、弟より結構ダメな部分とか、だらしない部分がある。一緒にやってきて約20年ぐらいたちますが、こいつが横にいなかったら、多分、俺、ここに立っていない」。直接言ったことがなかった弟への感謝の気持ちを伝えた。

塗装業を営む父功生さんによる独学ベースのスパルタ指導に、兄弟そろって取り組んだ。小学校時代、柱を殴って拳を強化し、兄はうさぎ跳びのオーバーワークで膝を痛めて手術を受けた。自宅の車庫にサンドバッグをつるしてパンチを打ち、父の持つミットを打つ練習に明け暮れた日々が報われた「記念日」となった。

重岡優は「銀（次朗）があんなに熱い試合して、控室で泣きそうになった。本当はバチバチとやりたかったのですが」と反省も忘れなかった。兄弟で夢だった世界ベルトを手にし、次なる目標は兄弟での4団体制覇。現在、7人の王者が乱立するミニマム級のベルトをまとめる－。重岡兄弟の歴史が始まる。【藤中栄二】