米プロレスWWEで所属8年目を迎えた中邑真輔(43)が米国で活躍する他競技アスリートに刺激を受け、日本男子初の同団体最高位王座獲得を狙う。25日(日本時間26日)の同団体のペイ・パー・ビュー(PPV)で生中継されるプレミアム・ライブイベント(PLE)、サバイバーシリーズ大会(米シカゴ)のPRで帰国した際、日刊スポーツのインタビューに応じた。大リーグで活躍するエンゼルスFAの大谷翔平投手(29)から刺激を受けている心境を明かし、故アントニオ猪木さんへの思いも語った。【取材・構成=藤中栄二、千葉修宏】
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16年に新日本プロレスからWWEに移籍し、常に中邑は第一線で活躍してきた。US王座、インターコンチネンタル王座、スマックダウン・タッグ王座を獲得。最高位王座(統一王座か世界ヘビー王座)を手にすれば男子25人が達成し、日本男子初の「WWEグランドスラム」を成し遂げる位置まで到達している。
中邑 日本人がチヤホヤされる時代にWWEに行くことができたからある程度、かけ足で今のポジションに来られた。(最高位王座を)取れたらいい、取りたいと当然、思っている。
9月、10月とPLE2大会連続で世界ヘビー級王者セス・ロリンズに挑戦。あと1歩で敗れていたが、頭には次なる王座挑戦実現のプランが描かれている。
中邑 今回、2回挑戦して2回ダメだった。なら次はどんな形で挑戦し、どんな形なら取れるのか。どんな攻め方をしたらいいだろうとか、考えはある。
中邑が燃える理由の1つに他競技アスリートの存在がある。大リーグで2度目のア・リーグMVPに輝いた大谷の存在はエネルギーと勇気をもらっているという。
中邑 WBCもすごかったし、現地に住んでいる日本人として感動しました。米国で日本人はやはりマイノリティー(少数派)。西海岸とかニューヨークなどは別だろうけど、(中邑の居住地)フロリダに日本コミュニティーで大きなものはない。テレビで活躍を見ているだけで心強い。本当に良い刺激を与えてもらっている。
大谷とともに、NBAで活躍する八村塁、渡辺雄太、東京五輪スケートボード・ストリート男子金メダルの堀米雄斗の名も挙げ、世界でアスリートたちを「スゲエ」と表現した。
中邑 僕は海外への憧れが強く、世界に感じる壁は大きかった。でも今の選手たちはネットもあるし、直接的に双方向で情報もやりとりできる。自分が昔感じていたような、そこ懸ける精神的な遠さを感じないのか、と。うらやましい。
負けじと中邑自身も自らを“アップデート”している。それが歴史と伝統があり、選手層の厚いWWE男子勢で活躍を続ける秘訣(ひけつ)だという。最近は英語字幕をつけた映像で登場し、日本語でむき出しの感情を押し出している。
中邑 真面目に自分の仕事に向き合っていくことが大事。米国はカジュアルなイメージもあると思うけれど、日本より米国こそ本音と建前の違いがある環境はない。数字がすべてのものをいうし、競争の世界。情報もアップデートしていかないといけない。最近、米国人は字幕に慣れてきた。日本アニメで(吹き替えではなく)声優さん本人の声が聞きたいとか、(日本人ユニットの)「BABYMETAL」、「新しい学校のリーダーズ」、「YOASOBI」らが日本語で歌う音楽も人気。字幕つきの日本語は、今の時代だからこそできるようになった。
先月1日、新日本で師弟関係にあったアントニオ猪木さんが死去して一周忌を迎えた。中邑は急きょ帰国し葬式に出席していた。
中邑 自分の中で最後の最後、あいさつができて良かった。一方的かもしれないが、(以前は)わだかまりもあった。ただ猪木さんも僕も時間が経過すると、お互いに都合の良いことばかり残し、悪かったことを忘れちゃう。僕はおやじを早くに亡くしましたけれど、恵まれていて。おやじのように接してくれる人が自分の人生で多かった。そのうちの1人でした。
10年にWWE殿堂入りを果たした猪木さんは79年に日本でWWF王座を獲得しながらもWWEに認定されていない。若手時代、猪木さんの誘いで米ロサンゼルス修行を経験し、海外志向も強くなった。そして巡り巡って猪木さんが成し遂げていない最高位王座獲得を狙う立場にいる。
中邑 日本のいた頃から記録に対して「うとい」というか「縁がない」というか。自分の納得するところで、自分の思うようになりたいという方が強かったから。なので猪木さんのWWF王座が認められていないからということを、自分のモチベーションには持っていっていない。ただ自分が王座を狙いたいだけ。
ジンダー・マハル、AJスタイルズ、セス・ロリンズ…その時のWWE最高位王者に何度も挑戦したものの、今だ獲得できていない最終目標とも言える。
中邑 本当に全然、勝てねえなと思ってきたけれど、そういえばIWGPも最初に取ってから何度も挑戦し、何度も負けていた。なら通常運転だなと。長い期間かけて取れば喜びも大きい? それぐらいの気持ちで自分をリラックスさせている。
◆中邑真輔(なかむら・しんすけ)1980年(昭55)2月24日生まれ、京都・京丹後市出身。青学大から02年に新日本プロレス入り。同年8月に安田忠夫戦でデビュー。03年12月に天山広吉を下し、史上最年少23歳9カ月でIWGPヘビー級王座を獲得し、計3度戴冠。IWGPインターコンチネンタル王座も5度戴冠。11年にG1制覇。16年2月にWWEに移籍し、17年4月にスマックダウン昇格。同年8月にWWEヘビー級王座初挑戦。18年1月、ロイヤルランブル制覇。同年4月にレッスルマニア34大会でWWE同級王座挑戦。得意技はキンシャサ。188センチ、103キロ。
◆WWE中継 ABEMAで今年10月からロウ、スマックダウンの2大ブランド大会の無料中継を開始。今月のPLEサバイバーシリーズ大会はPPV生中継で26日午前9時30分から番組開始、同10時から中継開始。中継終了後から12月3日午後11時59分まで見逃し視聴可能。日本勢はWWE女子王者イヨ・スカイ、アスカ、カイリ・セインが女子ウォーゲームズ戦(屋根なしケージに包囲された2つのリングでチーム戦)出場が発表済み。

