プロボクシングWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)が26日、東京・有明アリーナで開催されるWBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との4団体王座統一戦に臨む。21年12月、井上-アラン・ディパエン(タイ)戦が「ひかりTV(現Lemino)」で国内初のPPV(ペイ・パー・ビュー)配信となった。今回のタパレス戦も「Lemino」で無料生中継されるが、ボクシングが「最多視聴者数」獲得という実績があるからだ。

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「Lemino」を運営するNTTドコモがサービス開始(今年4月12日)から11月8日までの期間に配信した全作品を対象にした視聴数の年間ランキングを15日に発表した。その総合ランキング1位が7月25日、当時の統一王者スティーブン・フルトン(米国)に井上が挑戦したWBC、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチになった。

同じく7月に生中継された欧州サッカー人気クラブ対決のマンチェスター・シティー-バイエルン戦の生中継や、人気の国内外ドラマなど抑えてトップに輝いた。井上の世界戦が「ひかりTV」「dTV」時代をを含め、3戦連続で「Lemino」で生中継されるのも、うなずける。井上も自らの存在がボクシング中継に新たな波を起こしていることを認識している。

10月25日、タパレス戦発表会見で、井上は「配信の時代に、日本でマーケットがあるからこそ、フルトン、タパレス戦が実現できた。時代の変化とともに、変化の波に乗れているのかなと思う。自分としてキャリア後半に差しかかり、これからの後輩ボクサーが波に乗れてボクシング界、ボクシング人気が10年、20年と続いていければいい。それをするには自分が最高の結果を出して、そういうものを作っていかなくてはいけない責任がある」と言葉に力を込めた。

ボクシング世界戦は地上波中継が主流だった。だが、欧米でファイトマネーが高騰し、興行規模自体が拡大。外国人の世界王者を呼ぶためにはテレビ局のみの予算で対応することが難しくなってきた。今年は、12年連続で続いていたTBSのボクシング中継もいったん見送り。一方で、ボクシング中継は「Amazonプライム・ビデオ」をはじめ、「U-NEXT」、「ABEMA」など映像配信サービスに移行。エキサイトマッチで有名な「WOWOW」もオンデマンド配信するなど「スマホで見る」時代となってきた。

今年、大橋ジムは「Lemino」とスポンサー契約を初締結した。井上の世界戦をはじめ、2カ月に1度、フェニックスバトル興行を開催。3月にはソウル大会も中継する予定だ。大橋秀行会長(58)は「ボクシング中継は動画配信という流れが今後も主流になっていくだろう」と強調する。

「Amazonプライム・ビデオ」には、無敗の格闘家で東洋太平洋スーパーバンタム級6位の那須川天心(25=帝拳)、WBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(31=BMB)、3階級制覇を狙う元世界2階級制覇王者中谷潤人(25=M・T)、4階級制覇を目指す元世界3階級制覇王者田中恒成(28=畑中)らが登場。「ABEMA」にはWBA世界スーパーフライ級王者井岡一翔(34=志成)ら、それぞれ知名度ある世界王者たちが名を連ねる。ファイトマネーを含めた興行規模の次元が違う井上の存在が中心となり、ボクシングが配信業界の人気コンテンツとして定着しつつあるのは間違いない。

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