無敗の格闘家でプロボクシング東洋太平洋スーパーバンタム級6位の那須川天心(25=帝拳)が、“KO仕様”に進化させたボクシングでプロ3戦目に臨む。WBA世界バンタム級15位ルイス・ロブレス(25=メキシコ)戦(23日、ディオンアリーナ大阪、54・8キロ契約体重8回戦)を控えた10日、東京・新宿区の帝拳ジムで4回のスパーリングを公開した。

パートナーはWBC世界バンタム級28位の不敗のカルロス・ノルベルト・ロペスと、21勝15KO(2敗3分け)の強打のヘスス・ラミレス・ルビオ。この日の体重は那須川より3~5キロ重い。キャリアでも上回る歴戦のメキシカン2人を、那須川は持ち前のスピードとテクニックに加えて、パワーと連打でも圧倒してみせた。

開始早々、ボディーへの左ストレートから相手をロープに詰めると、4連打を上下に打ち分けた。最終4回には再びロープに詰めて強打をまとめると、相手の反撃を冷静にかわして、左ボディーブローを突き刺した。相手の攻撃を華麗な防御でかわしてカウンターを突き刺す過去2戦に比べると、明らかに攻撃にすごみが増していた。

「1、2戦は相手が前に出てきて対処する意識が強かったけど、今回は自分からプレッシャーかけたい」と那須川。過去2戦はともに圧勝も判定決着。第2戦はKOをテーマに掲げながら倒し切れなかった。その理由について「やり方が分かっていなかった」。今回はその分かっていなかった部分を抽出し、埋める作業に注力した。「前回にはなかった距離の詰め方(パンチの)まとめ方など足りないパーツを集めて、それがそろってきた。かみ合えばバンバンいく。戦っている景色が変わった」と、進化を確信していた。

世界ランカーのロブレスは15勝利(5KO)2敗1分けの現役の世界ランカー。相打ち覚悟の打撃戦を得意とする好戦的なファイターで、那須川にとって打ち合いはリスクもある。それでも「これまでのスタイルでもいいという意見もある。でもボクシングをはじめて1年で完成されたくない。自分の可能性を上げるため、知らなかった世界に飛び込んでいく感覚」。

本格的にボクシングの練習を始めて約1年。「嫌というほどの走り込み」で8ラウンドを戦ってもスタミナは切れなくなった。「無駄な動きがなくなった。相手のスキも逃さなくなった」(那須川)。心身ともに格闘家から完全なボクサーへ変貌を遂げた。「自分のスタイルが型にはまってきた」という3戦目へ向けて「KOするサギはやめたい。みんなが見たこともないものを見せられるような気がする」。那須川は自らに期待していた。【首藤正徳】