無敗の格闘家でボクシング東洋太平洋スーパーバンタム級6位の那須川天心(25=帝拳)が10日、初KOを予感させる連打とパワーを披露した。

23日に転向3戦目となるWBA世界バンタム級14位ルイス・ロブレス(25=メキシコ)との54・8キロ契約体重8回戦を控え、都内の所属ジムで練習を公開。実力派のメキシコ勢パートナーを相手に骨折した左拳の全快と“KO仕様”を印象づけるスパーリングをみせ、世界ランカー撃破に自信を示した。

左拳の不安を一掃する全快スパーリングだった。那須川が実力派のメキシコ勢2人の顔面に、ボディーに、左ストレートをねじ込み、ロープ際に追い詰めた。転向2戦目で左拳を痛め、1度は左手手根不安定症と診断されたものの、3週間後に骨折と判明。大事を取って海外勢との実戦練習は年明け4日から開始していたが「もう、しっかりと回復している」。その言葉通りの左強打を披露した。

世界ランカーとの初対決に向け、上々の内容だった。22戦無敗の元WBCユース・バンタム級王者カルロス・ロペス(25)、21勝(15KO)2敗3分けの実績を持つヘスス・ラミレス(28)は現在の体重が60キロ前後とライト級付近のウエート。減量中の那須川とは2階級ほど上の体重差があった。それでも、キャリアも上回る2人を持ち前のスピードだけでなく、パワーと連打で圧倒した。

「前は本当に3発打ってハアハアという感じだったが、今は4発打っても疲れないし、打てる体になった」と自信の笑み。持ち前のカウンター攻撃だけではなく、自ら圧力をかけて距離を詰めて戦う新たなスタイルも見せ「リスクを取るようにした。自分の中でちょっと違ったワクワク感、知らなかった世界に飛び込んでいく感覚。今まで遠い距離でやってきたので、何か戦っている景色が変わってきた」と、確かな手応えを明かした。

前戦はダウンを奪いながらKO勝ちを逃した。次こそ、の思いは強い。

「KOしたいですよ。やり方が分からない、分かっていなかった。それさえしっかりかみ合えばバンバンいくと思う。距離の詰め方、(パンチの)まとめ方。足りないパーツをどんどん集めている。今回はパーツをそろえてきた感じ」

掲げたテーマは「KOする詐欺はやめたい」。本格的なボクシング転向から約1年。左拳の不安を払拭(ふっしょく)した男が「有言実行」のKO勝利を挙げ、世界ランキング(世界挑戦可能な15位以上)獲得を目指す。【藤中栄二】