新潟県在住者でただ1人、格闘技のビッグイベント「RIZIN」に出場経験を持つ、RISEの元プロキックボクサー石月祐作さん(34)がこのほど、引退を表明した。21年にスーパーフェザー級暫定王者決定戦を行うなど、国内トップクラスの実力を誇った。今後は23年に自身が立ち上げたキックボクシングクラブ「TEAM GROW」で後進の育成に力を注ぐ。

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精悍(せいかん)な顔つきは現役時と変わらない。ただ、少し頬は緩み、ギラついていた瞳には温かさが宿る。「もう、自分のための運動はしていないです」。立ち上げて3年目になるGROWの練習生を相手にミットを出し、パンチ、キックを受けるのが、今の石月さんが体を動かす唯一の時間になった。

「あと1試合やりたいと思っていたけど。ここで終わるのも自分らしいかなと」。22年12月、笠原友希(シーザージム)に3回判定で敗れた際、あごを骨折。再起を目指したが納得して戦える状態には戻らず、この春、引退を決めた。

正面から打撃戦を挑み、打たれても引かない勇敢な戦いぶりは関係者から高く評価された。練習相手の少なさや、集客面などでハンディのある地方在住ながらオファーが相次いだ。大舞台を踏み、次々と注目選手と対戦した。

21年10月、RISEスーパーフェザー級暫定王者決定戦で一馬(MONSTAR GYM=引退)と対戦。5回TKOで敗れたが、ダウンの応酬となった打ち合いは、その年のベストマッチと評価するファン、関係者が多かった。22年7月には「RIZIN・37」に出場。笠原弘希(シーザージム)に判定負けも、県在住者でRIZINのリングに立ったのは現時点で石月さんしかいない。

「強い相手と戦いたかった。それを貫くことができたと思う」。一馬戦から4連敗で引退。相手は全てランキング上位者ばかり。勝ち星から遠ざかっても゛かませ犬゛とのカードは望まなかった。15年からGROWの立ち上げまで在籍したKAGAYAKIジムの伊達皇輝代表(49)は「素晴らしいファイトを間近で見させてもらいました」と、ねぎらった。

少年時代はやんちゃだった。高校に入学したが、1カ月もせずに退学。ストリートファイトに明け暮れた。25歳の誕生日に健康目的でKAGAYAKIジムに入門して人生が変わった。理不尽なことには牙をむき出しにするが、信じた人や物事には徹底して向き合う。キックボクシングは、そんな自分の本性を形にできる場だった。

24歳から務めているプレス加工業の「ミノル」(燕市)ではベテランになった。「会社には本当に支えてもらいました」と感謝する。そして「これからキックボクシングに恩返しです。GROWを通してファンを増やし、強い選手を出せたら」。上り坂の途中で咲いて、散った格闘家人生。自分を超えて行く後進に、頂点に立つ夢を託した。【斎藤慎一郎】

◆石月祐作(いしづき・ゆうさく)1990年(平2)10月9日生まれ、三条市出身。三条第一中から加茂農林へ。高校中退後、15年に「KAGAYAKI」に入門。16年にアマチュアの全日本トーナメントで優勝。17年8月に「RISE」でプロデビューし、18年にスーパーフェザー級新人王を獲得。20年8月にDBS日本ムエタイスーパーフェザー級、10月にKROSS×OVER同級のタイトルを獲得した。戦績18戦12勝(7KO)6敗。170センチ。血液型B。