WBC、IBF世界バンタム級王者の中谷潤人(27=M・T)が、今秋にもスーパーバンタム級に転向することが濃厚になった。
6回終了TKO勝ちしたIBF同級王者・西田凌佑(28=六島)との統一戦(8日、東京・有明コロシアム)から一夜明けた9日、都内で会見に臨み「いろんな選択肢があるが、スーパーバンタム級にいくことがすごく大きい」と発言。今後は来春に計画される4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(32=大橋)とのビッグマッチを見据えて、同級の世界上位ランカーと対戦する可能性が高まった。
2つのベルトを束ねた中谷は、すでに新たなステージへ気持ちが傾いていた。「ベルトに思い入れはない。ベルトを守りたいという気持ちもあまりない。(バンタム級は)もういいかなという感じは多少あります」。10度目の世界戦で初の王座統一戦に圧勝し、バンタム級でやり残したことはもうないようだった。
西田戦では初回からパワフルな強打を振り抜いて、同じ無敗王者を戦闘不能に追い込んだ。「バンタム級に上げたらスピードが上がり、いろんなタイミングがつくれるようになり、パワーにつながった」とパンチ力にさらに自信を深めた。その上で「スーパーバンタム級に上げれば、筋肉量を落とさずに減量できるので、筋肉を生かしてさらにスピードもパワーも上がる」と続けた。
試合後、リングサイドで観戦していた井上がSNSで「スーパーバンタム級戦線へようこそ。こんな強い日本人がいたらワクワクしちゃうよな」とつぶやいた。コメントを関係者から伝え聞いた中谷も「井上選手も強いのでワクワクしています」と、来春に計画される井上とのビッグマッチを待望した。
すでに井上戦を想定したイメージも何度か思い描いているという。試合展開については「それは言えません」。西田戦と同じように打撃戦を挑むのかという質問には「それはナンセンス。あれはあくまで西田選手との戦いに必要だった。(井上戦は)しっかり仕上げてから。まだ時間があるので、過程をへてより強くしていきたい」と慎重に準備をする。
ビッグマッチの前に“予行演習”を挟むつもりだ。プロモーターの帝拳ジムの本田明彦会長は「仮に階級を上げたら世界ランクの上の選手とやる。カルデナスも候補」と明かす。5月に米ラスベガスで行われた井上の防衛戦で、8回TKO負けを喫したが、2回に井上からダウンを奪って健闘したカルデナス(米国)が対戦相手になれば、井上戦への試金石にもなる。
「(スーパーバンタム級は)相手も大きくなるので、接近した時にプレッシャーも強くなる。そこで打ち勝てるフィジカルを強化しないと」と中谷。西田との統一戦で圧勝したことで、井上の対戦者候補として注目度がさらに高まっている。「いいファイトができた。自信もついた。ベルトも増えて、箔(はく)も付いた」。井上の最大のライバルの座に、中谷がどっかりと腰を下ろした。【首藤正徳】

