<OZ>◇19日◇後楽園ホール◇観衆876人

 栗原あゆみ(28)が師匠・AKINOとともにアジャ・コング、加藤園子を破り、悲願のOZタッグ王座に上り詰めた。3月の後楽園大会では同一カードで、あと一歩及ばず敗戦。それでも、野望のためその後もタッグを組み続け、王座を狙い続けていた。

 AKINOは栗原の師匠。そして対戦相手のアジャ・コングはAKINOの師匠で、栗原の新人時代にタッグを組んでいたという因縁のカード。栗原は試合中盤、アジャから場外に落とされると、西側最上段に連れていかれ、看板に何度も頭をぶつけられた。だが、相手がラリアットを狙った際、かわして相手の痛めた右腕に何度も頭突きを叩き込んだ。さらに客席の手すりを利用して、腕ひしぎ十字固めに決めるなど右腕を集中攻撃。相手の戦闘能力を奪い、主導権を握った。

 最後は4人が入り乱れる中、30分時間切れ。栗原は「前回は負けたけど今日は負けてねえ。次もう1回やらせろ」とアピール。対するアジャから「もうお前らに2度と挑戦権を与えない。だから今すぐ決着つけてやる」と延長戦を逆提案された。

 後楽園の観客が大興奮で声援を送る中、延長戦へ突入。勝敗を分けたのは「あきらめない心」だった。アジャの裏拳を頭突きでカットした栗原は裏投げ。押さえ込むようにエビ固めを決めて3カウントを奪った。3月の28分、そして今回の30分プラス5分。合計63分にわたる大熱闘にピリオドが打たれた。

 栗原はNEO2冠もCMLLも、そして波女も「あきらめない心」を原動力として夢をかなえてきた。OZのベルトを手にした栗原は「こうやってAKINOさんにデビューさせてもらって、ずっと下でやってきて、追い越すためにその元を離れて、また組むことになって。まだ追い越せてないけど、このベルト奪取で並ぶことはできたと思っています」と感慨深げに話した。

 一方、師匠のAKINOも「栗原とこうしてベルトを取る日が来るなんて、自分も想像していなかった。こいつには負けたくないって気持ちが今日で強くなったし、その気持ちがピークに達した時にシングルをやりたい」とそう遠くないシングル戦を見据えていた。