プロボクシングWBCバンタム級とフェザー級で世界2階級制覇した長谷川穂積(30=真正)が29日、東日本大震災で被災した宮城県を慰問に訪れた。まず宮城農高ボクシング部の仮設練習場で選手を激励。校舎は津波で倒壊し、ボクシング部はOBが提供したビニールハウス内の砂地に、ロープを持ってリング代わりに練習している。

 スパーリングを見てアドバイスも送った長谷川は「(ジムの)山下会長と公園で練習していた昔を思い出した」と話し、記念撮影やサインに気さくに応じた。同部の篠崎光希主将(3年)は「生で見て緊張した」と感激しきりの様子。

 長谷川はその後、被害の激しかった山元町の避難所3カ所を訪問。「皆さんの笑顔を見て人は強いんだと思った。自分は4月8日の試合に負けて落ち込んだが、小さな悩みだと感じた。今後ボクシングを続けるか分からないが、強く生きていきたい」。進退は明言しなかったが、心に深く刻まれたようだ。【大池和幸】