<プロボクシング:スーパーバンタム級ノンタイトル6回戦>◇24日◇大阪・ボディメーカーコロシアム第2競技場

 「浪速のショー」が、鮮烈な秒殺デビューを果たした。アマ高校4冠の中沢奨(20=大阪帝拳)が、1回1分20秒でTKO勝ちした。プロ14戦目のデッチャイ・ボビージム(17=タイ)を、強烈な左フックでマットに沈めた。

 関西ボクシング界期待のルーキーが、プロ初戦で評判通りの力を見せつけた。開始10秒でいきなり左フックを浴びせてダウンを奪うと、勢いはもう止まらない。セコンドから「ゆっくり行け」という声も出たが、休む間もなく攻め続けた。最後も得意の「左」で仕留めた中沢は「これから遊びに行けますね」と涼しい顔で笑った。

 今年3月に東農大を中退して、プロに進んだ。あこがれは、同ジムの先輩で元世界王者の辰吉だ。尊敬する「浪速のジョー」も観戦に訪れ「デビュー戦であれだけ動けたら最高ちゃうか」と後輩をたたえた。

 5月のプロテスト合格後は、アゴを守るための防御術を中心に練習してきた。今後は年内に1戦し、来年は年間5試合を目標に経験を積むつもり。「もっと練習して、いつか辰吉さんみたいなボクサーになれるように頑張りたい」と、目を輝かせた。【木村有三】

 ◆中沢奨(なかざわ・しょう)1992年(平4)12月9日、大阪市生まれ。小学1年時から大阪帝拳ジムに通い始める。興国高2年で選抜、国体、3年では総体、国体で優勝。東農大では昨年11月全日本選手権(バンタム級)に優勝して最優秀選手賞も獲得。アマ戦績は92勝(45RSC)10敗。172センチの右ボクサーファイター。