ボクシングはおろかスポーツ歴もほとんどない異色のボクサーが、世界タイトルのチャンスをつかんだ。前日本スーパーバンタム級王者大竹秀典(33=金子)が27日、WBA世界同級王座挑戦(11月22日、英国)を前に、都内の金子ジムで会見した。

 大竹は、福島県郡山市から23歳で上京し、電車の窓からたまたま見えた同ジムに入門。中学時代に卓球部に所属したが、ほとんど出席せず、日大東北時代も「学校が終わるとふらふら遊んでいた」とスポーツとは無縁。明確な目的もなくやってきたが、06年から2年連続出場した新人王の東日本決勝で2年連続敗退。「自分に対しての意地」で奮起し、地道な努力で12年8月に日本王者となった。

 今回の世界戦も当初、世界同級3位の和気慎吾(古口協栄)が指名されたが、和気が体調不良で辞退し、入門11年、33歳にしてチャンスが巡ってきた。昼間勤務する横浜ビールでは、同社が経営する飲食店の料理人を務める。太田久士社長は「とにかくまじめ。王者になったら、彼のラベルのビールをつくる」と期待を寄せる。大竹は「挑戦だけで満足せず、絶対ベルトを取ってきたい」と意気込んだ。【桝田朗】

 ◆大竹秀典(おおたけ・ひでのり)1981年(昭56)7月6日生まれ、福島県郡山市出身。日大東北高卒業後、仙台で2年間建築関係の専門学校に通う。04年に上京し金子ジム入り。05年にプロデビュー。12年8月に日本スーパーバンタム級王座を獲得し4度防衛。今年9月に同王座返上。独身。