現役最多、8度の改名をした力士がいる。

 日本相撲協会は27日、夏場所(5月10日初日、両国国技館)の新番付を発表。東三段目51枚目の大神風(27=高田川)は、下の名前が大神風力(だいかみかぜ・ちから)から大神風龍二(りゅうじ)になり、2004年3月の入門以来、現役力士最多を更新する8度目の改名になった。

 今回の改名は、元大関千代大海の佐ノ山親方からの勧め。師匠・高田川親方(元関脇安芸乃島)の付け人を務める大神風が、審判部に出入りしていた春場所中のことだった。負けが込んでいた時、佐ノ山親方から相撲の助言を受けるとともに「名前を変えろ。オレの名前をやる」と言われ、師匠からも「本人がいいって言ってるんだから変えろ」と同調された。大神風は「顔じゃないですって断ったんですが…。でも、目をかけてくださるのはありがたいことです」と受け入れた。

 本名の前田一輝で初土俵を踏んで以来、前神風一輝、輝錦一太郎、威力太郎、前神風勝輝、神風力(じんぷうりき)一輝、神風力(しんぷうりき)一輝、大神風力と続いた改名歴はついに、大神風龍二になった。

 もともと昭和初期に小兵ながら関脇まで昇進した神風と、「土俵に、出身地の神戸の風を吹かす」という意味にあやかって、大神風と名付けられた。大神風の最高位は幕下32枚目で、角界の知識が豊富で「相撲博士」としても知られている。夏場所に向けては「気迫の土俵を展開します!」と意気込んでいる。