結びの一番を正面土俵下で審判長を務めた井筒審判部副部長(54)が、とんだ災難にあった。

 横綱白鵬(30=宮城野)の厳しい土俵際の攻めで、寄り切られた関脇嘉風(34=尾車)がたまらず、井筒審判長を目がけて飛んできた。体をやや右にひねりながら、避けようとした同審判長だが、脚を中心に左半身に148キロの嘉風の体が直撃した。

 その場にうずくまり、しばらく動けない。弓取り式を終えても状況は変わらず、車いすが土俵下まで運ばれ、同審判長は乗せられた。そのまま医務室に運ばれ、しばらく様子を見た後、救急車の到着を待って、体育館の駐車場へ。その間「念のために」と病院に救急搬送されることを報道陣に語り、愛弟子の横綱鶴竜(30)には「レントゲンを(撮りに行く)」と告げた。

 車いすからストレッチャーに移される際は、体を動かされるため顔をしかめ、痛そうな表情を浮かべたが、最後はカメラマンのフラッシュの放列に、右手を挙げて応えるなど、痛みをこらえながらも気丈に振る舞っていた。大阪警察病院でエックス線など精密検査を受けると思われる。