今月13日に65歳の誕生日を迎え、今場所限りで定年となる元関脇出羽の花の出来山親方(本名・野村双一、青森県中泊町出身)が、大相撲夏場所12日目の19日、両国国技館内で記者会見した。

 今後は、定年退職を迎えた親方を最長70歳まで再雇用する、業務委託契約を利用して協会に残り、所属する出羽海部屋で後進の指導にあたる。

 現役で14年、親方として28年を過ごした角界での人生を「ここまでよく来れた。感慨深いものがあり、満足しています」と振り返った。日大で学生横綱になり74年春場所、幕下付け出しでデビューしたが「過去に私以外、いないのでは」という負け越しを経験。一度、三段目まで落ち、新十両まで7場所、新入幕までにはさらに15場所を要したが「稽古、稽古で頑張った。その稽古場も、横綱になった三重ノ海さん、鷲羽山さん、大錦さん、佐田の海らがいて、いい稽古ができる環境だった」と話した。

 最高でも125キロの細身の体で、三賞は10回獲得し、最高位の関脇まで昇進。印象に残る場所として、2場所連続で横綱北の湖と2代目若乃花、大関隆の里と琴風の、2横綱2大関を破った82年春、夏場所を挙げた。

 また親方としては、理事初選出ながら広報部長として執行部入りした14年からの2年間を「一般社会とのつなぎ役として、経験できないことを経験できたこと」として印象深いことに挙げた。今後の後進の指導については「しこ、すり足と基本をしっかり教えたい。精神面は素直な心、負けん気の強い子。欲を言えば言い訳をしない若い子を育てたい」。学生相撲出身力士には「上には上がある。もっと欲を出してほしい」と注文した。