大相撲九州場所で3度目優勝を飾った横綱鶴竜(31=井筒)が、大関稀勢の里を最大のライバルに“認定”した。千秋楽から一夜明けた28日、福岡市内の宿舎で会見。11日目に唯一の黒星を喫した稀勢の里について「お互いに(優勝争いで)邪魔してる感じで。本当にいい刺激になる。こういう相手がいると頑張れる」と語った。

 鶴竜にとっては、まだ優勝のない大関が天敵だ。対戦成績は17勝31敗と大きく負け越している。2年前の九州でも今年と同じ11日目に敗れ、優勝を逃す原因になった。逆に昨年秋場所は、14日目に1差で追う稀勢の里を退け賜杯を抱いた。今年の夏場所も、14日目に優勝のチャンスがあった稀勢の里に土をつけ、その夢を打ち砕いた。

 譲れない戦いをしてきたからこそ、ライバルへの思いもある。「ちょっとしたことだと思う。やっぱり何か1つ足りないのかな。それがあれば、次の番付に上がれる力は十分ある。自分の場合は、気持ちがすごく大事なのかな」。最後に、勝負を分けるのは心。腰痛を乗り越え、7場所ぶりの優勝をつかんだ横綱は、あらためて精神力の重要性を強調した。【木村有三】