東前頭筆頭千代の国(26=九重)が、結びの一番で横綱鶴竜(31=井筒)を引き落としで破って初金星を挙げた。12年初場所で新入幕を果たしたが、両膝の半月板損傷など度重なるケガで15年春場所には三段目まで落ちた。幕内から三段目まで落ちて再入幕を果たした力士としては史上初の金星獲得となった。

 千代の国が初めての結びの一番で、大仕事をやってのけた。取組前には顔を両方の手のひらで3度たたいて気合を注入。立ち合いでぶつかり、体を引きながら右に開くと、鶴竜が前のめりにバッタリと倒れた。初金星に「ちょっとゾクゾクしました。すごく鳥肌が立ちました。本当にうれしいです」と興奮を抑えられない様子だった。

 ここまで順風満帆ではなかった。12年初場所で21歳で新入幕を果たした。だが、14年秋場所で両膝の半月板損傷の大けがを負った。2場所連続で全休を余儀なくされ、15年春場所で三段目まで陥落した。稽古のためのテーピングをするだけで1時間半かかった時期があった。タイヤのゴムチューブ6本で膝を固めて稽古する時もあった。それだけに喜びもひとしおだった。