昨年のアマ横綱が、一発で勝ち越しを決めた。4番相撲で3勝目(1敗)を挙げ勝ち越しに王手をかけていた、幕下15枚目格付け出しの矢後(22=尾車)が5番相撲で東幕下8枚目の常幸龍(28=木瀬)と対戦。押し出しで破り、2番を残し最低限の目標だった勝ち越しを決めた。

 相手は金星獲得経験もあり、埼玉栄高の先輩にもあたる幕内経験者。在学はかぶらないが「(高校)入学前から知ってて強い先輩だなと思っていた」(矢後)常幸龍を相手に左四つから、一度離されかけた右上手を冷静に取り直し、十分な体勢から休まず寄り立て、最後は右のハズからノド輪で押し出した。

 節目の勝ち越しがかかる一番とあり「多少は緊張しました」というが「もう4、5番も取って、だいぶ慣れてきました」とプロの本土俵にもなじんできた。一方で、同じ幕下15枚目格付け出しデビューで、一昨年にアマ横綱を獲得した水戸龍(錦戸)は、この日敗れ2勝3敗。「水戸龍が、あんなに勝てない、苦しんでいるのを見てもプロの世界は甘くないと思う」という実感もある。そんな中で「これまで付け出しデビューした人たち(の実績)を見ていて、負け越してなんかいられない」との思いで節目の4勝目を挙げた。来場所、幕下1桁台を確実にするためにも、残り2番も大事な戦いになる。