西十両8枚目の安美錦(38=伊勢ケ浜)が、同14枚目の貴源治(20=貴乃花)との18歳差対決を制して勝ち越し、元関脇安芸乃島に並ぶ歴代10位の通算822勝目を挙げた。

 呼吸が合わず、迎えた3度目の立ち合い。突っ張られて1度は徳俵に左足がかかった。それでも「我慢して『大丈夫、大丈夫』と言い聞かせながら冷静に相撲が取れた」。

 右四つに組むと、貴源治のあごの下に頭を差し込む。「頭をつけて相撲を取るなんて、稽古場でもしていないのにね。なんであんな相撲が取れたのかな」。攻めが止まらない。年齢差などまるで感じさせない相撲。相手の上手投げをこらえ、最後は引き込みながらの下手投げで一瞬早く、相手を転がした。ただ「感覚的には分からなかった。(土俵下で)パッと見たら、目の前に(お笑い芸人の)ナイツの塙さんがいたから、つい『勝った?』と聞いちゃった。『勝った』と言うけど、本当かなと思って土俵に上がったよ。向こうもビックリしたんじゃない」と笑わせた。その上で、18歳年下の若手には「お互いに(力を)出し合って、いい相撲が取れたね」と健闘をたたえ合った。

 安芸乃島に並ぶ822勝目には「あと2番あるから、抜けるように。今日みたいな相撲が取れるように」と意欲を見せた。加えて、大混戦となっている十両の優勝争いにも加わっている今場所。ただ、そうなると千秋楽では決定戦の可能性もあるだけに、こちらは「千秋楽でいっぱい取らないといけない。体がもたないよ。一番でビキビキいっているのに、何番も取れないよ」。そんな困り顔をつくりながらも、まんざらでもない様子だった。