昨年のアマチュア横綱でデビュー2場所目の東幕下11枚目・矢後(23=尾車)が、この日も勝って5勝目。無傷のまま、残り2つの大一番を迎えることになった。

 4戦全勝同士で西幕下6枚目の栃飛龍(30=春日野)と対戦。突き放しで攻め続け、左をのぞかせて勝機を探った。だが相手も粘る。矢後の圧力をかわしながら、頭をつけながらの攻防が続いた。1分を超える長い相撲は最後、矢後が左のハズ押しで突き放し、押し出してケリをつけた。

 勝ち残りで次の一番は土俵下に控え、呼吸を整えた。その幕下最後の一番を終え花道を引き揚げてきた矢後だが、激戦の余韻は残ったまま。肩で大きく息をしながら、途絶え途絶えの声で取材に応じた。

 決して満足いく相撲ではなかったようで「スタミナが切れました。決め手を欠いて攻めきれなかった」と、まずは反省点を挙げた。それでも慌てずジックリ勝機を探った一番を「あきらめずに取れたことでチャンスを拾いました。前に終始、出ることもできた」と5勝2敗だった初土俵の先場所からの成長点を口にした。

 いよいよ残り2番。連勝なら、念願の関取の座がかかる大事な2番になる。色気が出て当然。矢後も「心のどこかにはある」と素直に認めつつ「あまり考えないように」と1日1番を自分に言い聞かせもした。